テトの伝統食、バンチュンづくりの技を競う ハイズオン省でコンテスト

2月21日(旧暦1月14日)、ハイズオン省のコンソン文化歴史遺跡で、「第7回バンチュン、バンザイづくりコンテスト」が行われた。「コンソン・キエップバック新春祭」の始まりを告げるテト(旧正月)の恒例行事で、毎年この時期、全国から数万人の観光客らが訪れる。

 


観光客らでにぎわうコンテストの様子

バンチュンとバンザイは、ベトナムの旧正月(テト)に欠かせない縁起物の伝統食で、赤い木製のお盆に盛り付け、「福」「寿」などの漢字を書いた紙で飾る。四角いバンチュンは、もちごめや豚肉などをゾンという植物の葉に包んでゆで上げる。円筒形のバンザイは、もち米をついて餅状にしたもので豚肉や緑豆などを包む。包み方や味付け、具材などは各地方や家庭によってさまざまだという。

バンチュンとバンザイはベトナム民族の精神を象徴する伝統的な食品であり、コンテストは食文化を通じてベトナムのテトの風習を伝承するのがねらいだ。また、ベトナムの主食である米への尊敬と感謝を表す祭事も兼ねており、各地で同様のイベントが行われる。

ハイズオン省でのコンテストは、神聖とされるコンソンの山林で行われた。バンチュンづくりは11チーム、バンザイづくりには7チームが参加。なかには数年前、フン王の神社で開かれた同様のコンテストで優勝したという強豪チームも。同省各地から集まった約120人の参加者らが、伝統衣装を着て料理の腕をふるった。


 手際良くバンチュンを仕上げて行くコンテスト出場者ら

コンテストの規定では、バンチュンづくりは1チームが5人。6.8キログラムのもち米を使い、豆と豚肉を入れたバンチュンを5つ、もち米だけのバンチュンを5つ、計10個を制限時間10分以内に作りあげる。材料をすべて使いきり、10個に等分されなければならないほか、材料のもち米や緑豆、豚肉の使い方、ゾンの葉で包む様式などは、伝統的な基準にのっとっていなければならない。

会場では観客から各チームに声援が送られ、活気とにぎやかなお祭りムードで盛り上がった。作業は早さだけではなく、仕上がりの美しさも問われ、丁寧さや技術も求められる。ハイズオン省の農民はむかし「ドン農民」と呼ばれ、「手先が器用で真面目な人」を表す代名詞でもあった。そのため、各チームはその名を汚さぬよう、手際よく、美しく、おいしいバンチュンを次々と仕上げていった。
 


参加者の一人、ド・ゴック・トウさんは「このコンテストに出場するのがとてもうれしい。自分の経験を生かし、民族の心を込めた、最高のバンチュンを作って神様に捧げたい」と話した。

一方のバンザイづくりは、1チーム6人で競う。こちらは材料が6.8キログラムの若いもち米で、コンテストは祭事でもあるため、おこわ飯を作るための水はコンソン寺の玉井戸(ジエン・ゴック)の聖水を使う。おこわ飯を作って、もち状につき、5つのバンザイを45分のうちに完成させなければならない。


 バンザイづくり部門では、参加者がもち米を手際よく餅状につく

祭りを見に来たタンホア省のブイ・ティ・カム・アインさんは「ベトナムの伝統芸術の美しさが見られて感動的だ。このような伝統的な祭りをもっと多く行ってほしい」と話していた。