観光業を通してフエの宮廷音楽の保存に取り組む

ハノイ旧市街管理委員会と様々な団体が協力して取り組んでいる、ベトナム文化の日(11月)の催しに「古都の香り」というイベントがある。「古都の香り」を通して、ハノイの人々や外国人観光客にフエで培われたベトナムの伝統文化を知ってもらうのが狙いだ。

フエの宮廷音楽は国内外で、素晴らしいベトナムの伝統文化として認められている。

フエの宮廷音楽の文化的価値を認識することも大切だが、観光業を通して発展させ、保存していくことも重要だ。フエでは宮廷音楽を楽しむツアーが多く企画されてきた。しかし、更なる発展のためには、より大きな規模での企画が必要だ。具体的には、フエだけではなく、首都ハノイでもフエの宮廷音楽を楽しめるようにするなど、観光客がより親しみやすい環境を整えることが考えられている。こうした企画の実現には、多方面からの支援が必要不可欠だ。

ハノイでも国内外の観光客が宮廷音楽を楽しめる機会を設けるため、ハノイ旧市街管理委員会は「古都の香り」というイベントを企画した。宮廷音楽の意味や面白さを感じてもらいたいと、このイベントは大変、丁寧に企画されている。イベントの中で、宮廷音楽は「フエへ行く人、北部へ行く人」というタイトルで上演された。

このイベントには、ベトナム文化の日14周年と、フエの宮廷音楽がユネスコに無形文化遺産として登録されてから15年が経ったことを記念する意味もある。イベントでは、フエの宮廷音楽に加え、カーチュー、チャウヴァンなど多くのベトナムの古典音楽を味わうことができる。


上演された宮廷音楽

今回のイベントでは、フエと北部の歌手が音楽を披露。フエの歌手であるタイン・タムの情熱的な歌声が、北部歌手のタイン・ホアイや柔らかい声を持つ歌手のスアン・ホアイ、低い声が特徴のチャン・タオらの歌声と調和し、贅沢な一時となった。

フエの宮廷音楽以外のトゥオン、カーチュー、チェオコー、チャウヴァンなどのベトナムの古典音楽は、いずれも歌手のマン・トゥー、ミン・ガーイ、キエウ・オアイン、スアン・ホアック、タイン・ホアイ、マイン・フォング、トゥイ・ガン、キム・リエンらによって披露された。