よみがえった幻の磁器 チュダウ焼、海外でも人気

王朝時代から続く長い歴史のなか、ベトナムでは各地ですぐれた陶磁器が生まれた。ハイズオン省ナムサク地区のチュダウ(chu dau)焼=写真=もその一つ。13世紀に生まれ、17世紀末には王室のシンボルにもなっていたが、その後途絶えてしまった。それから約400年。かつての名品を復活させようとハノイ貿易総公社が2001年、チュダウ・セラミック合資会社を設立。よみがえったチュダウ焼は、国内外で高い人気を得ている。

花にとまる鳥や水牛と牛飼い、川を泳ぐ魚、川沿いに並ぶ住居の屋根…。つややかな白い地肌には、藍や朱を使って、紅河デルタののどかな暮らしをしのばせる模様が描かれている。チュダウ焼は、ベトナムの文化や伝統、思想、信仰を体現した芸術品と言える。

世界的にも評価が高く、日本の東京や、トルコのイスタンブール、米国のニューヨークなど世界46カ所の美術館に収蔵され、中には100万㌦(約1億800万円)以上の高値がつくものもある。近年は、インテリアや贈答品としても人気が高く、欧米やアジア市場に輸出されている。また、政府や企業の重要な外交イベントで紹介されることも多くなってきた。