彩り豊かな花々と民族文化、ベトナムの冬の旅の楽しみ方

ベトナムの北部・中央高原地域では、冬でしか味わえない絶景が旅行者を待っている。

写真㊤=優しいピンク色の花をつけた木々

◇シロガラシ、アンズの花
ベトナム北西部、ソンラ省モクチャウ県では、例年11月から12月後半にかけてシロガラシの花が見頃を迎える。その時期をすぎると、今度はモクチャウ県の丘陵地やラオカイ省バクハ県に、アンズやウメの花が咲き乱れる。

春先に、モクチャウ県からライチャウ省、ディエンビエン省、ラオカイ省のサパまで移動すると、道すがら至るところで、素晴らしいモモの花を見ることができる。花はピンク色で、枝や幹はこけむしているものの、平地のモモとはまた違った美しさを見せてくれる。根は力強く、花の色は生命力に満ちている。

5、6日間あれば、雪に覆われたサパの古民家や色とりどりの市場を眺めたり、ナホイの競馬やバクハ市場を楽しむこともできる。ハザン省のシンマン県やホアンスーフィー県の高地では、北西部の山々の素朴で豊かな自然を体感できる。

◇心地よい気候の中央高原
冬にダラットを訪れた人は、みなこの地域が好きになる。野生のヒマワリが咲く道を歩き、マツの木を吹き抜ける風の音を感じ、温かいコーヒーを味わって、中央高原地域の気候の良さを感じる。

ダラットフラワーフェスティバルでは、鮮やかな黄色の野生のヒマワリや魅力的な青色のアジサイ、夕日に照らされた丘に咲くバラ、サクラの木陰道など、何千種類もの国内外の花々を見ることができる。

また、ダラットだけでなく、中央高原のあらゆる場所で、木々と丘陵、コーヒーを味わう穏やかな時間が観光客を待っている。


冬の北東部、北西部で咲く美しい花

◇静寂のマイチャウ
ホアビン省のマイチャウ渓谷は、澄んだ山の空気や森林、多様な文化、ユニークな郷土料理、ラック村とポムクーン村という観光村が、人々を惹きつけている。

700年の歴史を持つラック村は、マイチャウで最も美しい観光地とされており、白タイ族の独特の文化が息づいている。かつて、ラック村の人々は、高地で稲作と織物だけで暮らしていたが、現在は、地域社会に根差した観光開発で生計を立てている。そして、この村には今も素朴で親しみやすい風情が残っている。

ポムクーン村とは「大きな太鼓の上にある丘の村」という意味で、この地の水田のことを指している。ポムクーン村は文化観光村として知られ、国内外の観光客に人気だ。村はとても衛生的で、水は主に水道水を使用し、ゴミは分別して処理されている。村の人々は今でも高床式家屋に住んでおり、扉の前に座れば住民は互いに会話を楽しむことができる。

マイチャウの住民の大部分がタイ族で、その郷土料理には彼らの食文化が反映されている。特に、棚田で作られたもち米は観光客にも好評だ。


白タイ族の文化を楽しむマイチャウ

寒さを楽しむなら北部へ、冬の日差しを浴びるなら沿岸部へ。S字型の国を訪ねれば、きっと素晴らしい景色に出会えるはずだ。