ベスト・アジアン・フィルム賞 モン族少女のドキュメンタリー

優れたアジア映画を顕彰する祭典、アジアンフィルム・フェスティバルがこのほどダナン市で開催され、少数民族、モン族の少女の姿を追ったハ・レ・ジェム監督のドキュメンタリー「霧の中の子供たち」が、最高賞のベスト・アジアン・フィルム賞に輝いた。同作品は、米国のアカデミー賞(長編ドキュメンタリー部門)に、ベトナム映画として初めてノミネートされたことでも話題を呼んだ。

写真㊤=チャン・ホン・ハー副首相から記念のトロフィーを受け取るハ・レ・ジェム監督

ベスト・アジアン・フィルム賞はコンペティション部門に出品された12作品の中から選ばれた。ダナン市で開かれた授賞式では、チャン・ホン・ハー副首相から記念のトロフィーがジェム監督に手渡された。

「霧の中の子供たち」に登場するのは、北西部の村に住む12歳のモン族の少女、マ・チ・ジ。彼女はまだ思春期にさしかかったばかりだ。しかし、モン族の女性は早ければ14歳で結婚するため、将来をめぐり心は揺れ動く。そして旧正月の前夜、彼女は姿を消す…。


「これからも子供や女性に関する映画を撮り続けたい」とジェム監督は話す

ジェム監督は32歳。2013年から映画を学び、エイズウイルス(HIV)に感染したサオ族のシングルマザーを扱ったドキュメンタリーでデビューした。今回の作品は、2017年から5年の歳月をかけた力作だ。「これまで撮った映画の中で製作期間が最も長く、資金調達も難しかった」と振り返る。

それだけに、喜びもひとしお。「資金を出してくれた友人や団体、製作を支えてくれたクルー、そして、暮らしの様子を撮影することに協力してくれたモン族の人々ら感謝したい」とジェム監督。「これからも活力あふれる子供や女性に関する映画を撮り続けたい」と抱負を述べた。