2014年のベトナムの水産物輸出 70億ドルに達する見込み

ベトナム水産加工輸出協会(VASEP)によると、今年のベトナムの水産物輸出額が70億ドルに達する見込みだという。これは前年比4.5%の増加。従来からの主要輸出品目であるエビに加え、白身魚の「チャー」などの新市場への売り込みが貢献している。

輸出トップはエビ
農業・農村開発省によると、8月の水産物輸出額は6億7900万ドル、1-8月の総額は49億5000万ドルだった。これは前年同期比25.4%増。もっとも多かった品目はエビで、これだけで1-7月の輸出額が20億ドルに達した。輸入が多かったのはアメリカ、日本とEU諸国。ブラックタイガーの輸出は日本がもっとも多かった。

1-7月の水産物輸出で増加が著しかったのはオランダ、韓国、アメリカなどで、前年同期比100-298%の伸びを見せた。最大の輸入先の一つであるロシアが、今年はじめにベトナムの水産物の輸入を禁止したことに加え、EUやアメリカ、日本など主要な輸出先でも課題があり、当初の水産物の輸出は苦戦した。だが、今年8月下旬にロシアがベトナムからの水産物輸入を解禁。これで、今年下半期の水産物輸出も増加の見込みとなった。

期待の商品「チャー」
もうひとつ、関係者の期待を集めている水産物が、ベトナム語で「チャー」と呼ばれる淡水魚=写真、パンガシウスだ。ナマズの仲間の淡白な味の白身魚で、フライなどの加工原料として用いられている。


ASEAN 諸国へのチャーの輸出は1-8月中旬までの期間で8750万ドルにのぼった(前年同期比13.3%増)。ASEANは、EUと米国に次ぐチャーの輸出先で、なかでもタイとシンガポールへの輸出が多かった。この魚は、中東への重要な輸出品目にもなりつつある。2014年上半期には、前年同期比7.5%増の9065万ドルを輸出。エジプト、UAE、サウジアラビアの順に多かった。

VASEPによると、昨年来、従来の主要市場であるEU向けの魚介類輸出はさまざまな問題に見舞われたことから、中東など新たな小規模市場の開拓に目を向けたという。手ごろな価格と高い品質で、チャーはこれらの新市場で高く評価された。

現在ベトナムにはチャーや、仲間のバサの養殖場が約100軒あり、養殖面積は約2800ヘクタールに及ぶ。その約40%はベトナム版GAP認証や、養殖版のエコラベルである「水産養殖管理協議会認証制度(ASC)」、 安全かつ持続的な供給源であることを認定する「ベスト水産養殖業務認証監査(BAP)」などの認証を受けている。global GAP認証を得ている養殖場も、実に2000ヘクタールに及ぶ。

新規プロジェクトも
他の新しい水産物輸出のプロジェクトも始動している。中部のビンディン、フーイエン、カインホアの三省では、今年から、日本の輸入基準を満たしたかたちでのマグロの輸出に取り組み始めた。ベトナムのマグロの漁業・加工の競争力アップにつながるとして重要視されており、うまくいけば今年の水産物輸出額のさらなる引き上げに寄与するだろう。

従来の水産物輸出のトップだったエビも、病害が制御できれば、今年1年間で輸出総額が35億ドルを上回る見通しだ。加えて、新たな主軸となりつつあるチャーの輸出も後押しして、今年の水産物輸出の目標である70億ドル達成が大きく近づいている。