ベトナムの乳業大手、ビナミルクの製品が今夏、品質や味などから優秀な食品・飲料を選ぶ「世界食品産業賞2014」を獲得した。世界の70カ国から出品された100以上の製品の中からの受賞は、ベトナム乳業のブランドや競争力の向上を世界の市場に印象付けた。その躍進の背景にあるのは、設備投資だけではなく、製造技術向上や原材料の改良といった乳業メーカーの地道な企業努力だった。

投資と企業努力
このほどハノイで行われた乳業業界関係者らのセミナーでは、ベトナムの乳業メーカーが、製造技術の向上や原材料の改良に力を注いでいるという報告があった。加えて、近代的で競争力のある乳製品加工工場も次々と建設されるなど、業界内の設備投資も活発だ。

ビンズォン省では、20ヘクタールの敷地面積にビナミルクの新工場(投資総額2兆ドン)が建設された。幼児用粉乳が年間約5万4000トン生産できる同施設は、東南アジアで最大規模とされる。

工場設備の近代化とともに、乳業メーカーは原材料にも着目。原料の生乳の品質を改良するため、酪農家を支援し、乳牛の牧場を解説したりしている。それらの牧場は、近代的な設備が整っているほか、運営の形態も優れており、世界水準の食品加工の厳しい要求に見合うものとなっているのが強みだ。

輸出の強化へ
大規模な投資のおかげで、ベトナムの乳製品は、急成長を示している。飲料・食品の製造において、もっとも成長が著しい分野のひとつといえる。商工省の統計によると、粉ミルク生産量は5カ月で前年同期比5.52% の増加だった。 

ビナミルク社幹部のブィ・ティ・ホン氏によると、ビナミルクはベトナムの乳製品の市場占有率(シェア)トップで、51.3%(2014年7月)を占めるという。グローバルGAP基準を満たしている乳業メーカーも、東南アジアでは今のところビナミルクだけだ。

これらのことを武器に、同社は国内市場の開拓だけでなく、輸出も強化している。2013年のベトナムの乳製品輸出は2億3000ドルだったが、このうちビナミルク製品が2億1000万ドルを占めた。世界食品産業賞の受賞でベトナムの乳製品が世界の食品に劣らないことを証明したことで、国際的な競争力と知名度も大幅にアップにしており、海外輸出の拡大にも弾みがつきそうだ。