輸出用の農作物の多くが、市場で苦戦するのをしりめに、ベトナムのコショウ輸出が急成長を遂げている。今や、世界マーケットの主要な地位を占め、輸出高は9月中旬までに10億㌦(約1070億円)を超え、年末には13億㌦(約1390億円)に達するとみられる。

ベトナム税関の統計によると、年初8カ月間で、ベトナムのコショウは13万2682㌧が輸出され、9億8976万㌦の売上高があった。それぞれ前年同期の31%増、47.44%増を記録。年末まで4カ月を残しながら、2013年1年間の数字(8億8898万5000㌦、132、637㌧)を超えた。9月の前半だけで、国内企業は、3408万㌦、3556㌧の㌧のコショウを輸出。コショウ産業は、今や10億㌦規模のプレーヤーとなった。

コショウの最大の輸出先は米国で、2億744万㌦、全体の20.96%を占める。次いで、シンガポール(9.21%)、アラブ首長国連邦(7.81%)、インド(7.07%)、オランダ(6.23%)と続く。

ベトナムは2005年3月、インターナショナル・ペッパー・コミュニティー(IPC)に加盟した。加盟国中、最も新入りの国になるが、ベトナムのコショウの輸出価格は加盟国の大きな関心事となり、加盟国としての責任も重くなってきている。今やベトナムは、世界のコショウ生産の約30%と輸出の50%を占め、90以上の国で利用されている。

ベトナム・ペッパー協会(VPA)のダ・ホ・ナム会長は、「ベトナムは地の利をフルに生かした結果として、コショウの輸出量で世界一の座を占めることになった」と話す。1㌶当たりの生産性も高く、栽培面積を維持しつつ、収穫後の処理にも投資、コショウの品質向上に努めている。

しかし、VPAのナム会長は「コショウ輸出の急成長は目覚しいが、長期にわたって持続可能な発展を遂げるかどうかは別問題だ」と話す。「急成長のあと、ベトナムのコショウ輸出は急激に冷え込むことになるかもしれない。今年あたり、ベトナムは、国際的な安全基準をより高いレベルで満たせるよう、加工技術の改善について本腰を入れて取り組むべき時期を迎えている。同時に、より収益率の高い白コショウの割合を増やしていかなくてはならない」

確かな市場予想に基づく業者間の利害調整もまた重要だ。コショウ栽培を始めようとする業者を支援するような貸付制度も求められている。VPAは、今年のコショウ輸出が13億米ドルに達すると予測している。この数字は農業農村開発省が、2020年までを計画期間としたベトナム・ペッパー発展計画で設定した数値とも合致している。