ビナコミン、国産の機械を積極導入 「ベトナム製品使用」に貢献

政府の「ベトナム製品使用キャンペーン」は、一般消費者向けだけにとどまらない。ベトナム石炭鉱産グループ(ビナコミン)では、仕入れを輸入から国内企業にシフト。機械類の自社開発にも取り組み、国際的競争力アップを図っている。

石炭掘削の現場は、高価でメンテナンスが難しい機械類が数多く使われるが、これらは以前は輸入品が中心だった。しかし、ベトナム製品購入キャンペーンに参加したことから、ビナコミンは、輸入品に代わりうる競争力を備えた製品を作るための調査研究に力を入れ始めた。

同社では、現場のニーズにマッチし、輸入品より安くて、品質のよい機械類を自社開発し、積極的に使用してきた。さらに、これらを商品化し、販売を拡大するため、複数の国内パートナー企業と共同でベンチャーも立ち上げた。ビナコミン社のグエン・ディン・デュック党委員会副事務次官は「これまで、掘削機や可動式の油圧フレームなど、輸入品に代わる多くの機械製品を完成させた」と自信をみせる。

同社のグエン・ホアン・チュン企画部長によると、ビナコミンはまた、繊維大手のビナテックス(ベトナム繊維衣料総公社)、ベトナム化学総公社(ビナケム)、ベトナム鉄鋼総公社(VNスチール)、ペトロベトナム、ベトナム電力グループ(EVN)などの国内企業と提携することでも、国産原材料・資材の使用拡大に尽力してきたという。

例えば、炭坑内の支柱用に年間約8万トン使われる鉄鋼材は、以前は輸入品だった。しかし、2009年以降は、同社の求める品質水準が満たされるようになったため、VNスチールグループがタイグエン省などで作った資材を採用。この方針を打ち出した後、ビナコミンの傘下の関連企業も、国産鋼鉄材を使うようになったという。また、以前は輸入頼みだったタイヤ類も、現在はビナケム子会社のダナン・ゴムやサオ・ヴァン・ゴムなどの国内企業から仕入れており、その量は年間で中型トラック約10万台分になる。

ビナコミンはまた、ビナテックス製の繊維素材を使用するための協力協定を同社と締結。運輸中の石炭にかける保険もペトロベトナム系の保険会社と契約し、輸送も同社傘下のペトロベトナム輸送に依頼している。

今後、ビナコミンはコスト削減のために技術的な調査を促す一方で、ブランド力を高め、品質改善につとめる。また、顧客ニーズに応える商品開発や顧客向けサービスの充実によっても、自社の地位を固めていく考えで、このような努力が同社での国内での仕入れ増加につながるとともに、ビナコミンの売り上げ増加に貢献し、将来的には同社製品の市場競争力を高めると期待される。