ベトナム航空 IPOの行く先は

11月14日に、新規株式公開(IPO)を果たしたベトナム航空。国内最大のIPO案件であるだけに、今後、国内の株式市場にも影響を及ぼしそうだ。

“手ごろ”な売り出し価格

株式会社化されることになった国内初の航空会社、ベトナム航空。そのIPOの行程は、ベトナムの法律を遵守し、国際的な慣行に従って行なわれた。ベトナム航空のファム・ヴィエット・タン評議会議長は「同社は、業務評価や株式会社化のスケジュール決定、機関投資家の選定、そしてIPOの実行などについて細かく、国内外の信頼できるコンサルティング企業らのアドバイスを受けてきた」と話す。

ベトナム航空の法定資本は14兆1000億ドン(約14億1000万株)に達する。IPO実施計画のもと、全株式の75%は国が保有し、20%(約2億8200万株)が戦略投資家に、1.485%(約2100万株)が優遇価格で社員や労組に、それぞれ売却される。公募に振り向けられるのは残りわずか3.5%だ。

14日に行なわれたのは、4900万株(同社の法定資本の約3.475%)のIPOで、売り出し価格は1株22300ドンとなった。タン氏は「IPOと並行して、同社は9月ごろから戦略投資家を探し始めていた」と明かす。株式会社となった“新生ベトナム航空”の最初の株主総会は2015年の第一四半期の終わりごろにも開かれる予定だ。

今後も投資機会つぎつぎと

今回の株式会社化で、ベトナム航空は自社の資本調達先の構造を再構築し、運営を一新させ、現在および将来的な財源の見直しができる。

ベトナム航空は現在、約32兆6000億ドン相当の航空機を含めて、総額57兆ドンの資産価値を持つ。企業は常に黒字運営を展開しており、2008年から2013年の間で、収入で約20%増、年間乗客数で11%増という成長を達成してきた。

交通・運輸省のグエン・ゴック・ドン副大臣は、「2020年-2030年の同社成長ビジョンのもとで、政府はベトナム航空を国の航空関連産業の中心的組織として発展させ、アジア太平洋地域における競争力があり効率的で各方面から尊敬を集める航空会社へと育てたい」とした。

ドン副大臣はまた、「同社の主要株主である国を代表して、同社がわが国の『フラッグ・キャリア』(国家を代表する航空会社)としてその高い評判を維持し続けられるよう、支援を続ける」と述べた。

ベトナム航空は関連会社が14社あり、傘下に子会社17社と関連会社9社をもつベトナム有数の大企業。同社はベトナム航空サービス(VASCO)を運営しており、カンボジア•アンコール航空の合弁パートナーであることに加えて、ジェットスター•パシフィック社の株式も取得している。