ベトナムの果物・野菜の輸出 過去最高に

商工省によると、ベトナムの1-10月の果物と野菜の輸出が12億6000万ドルを超えた。昨年同期に比べ43.67%増の急成長で、年間の輸出総額は14億ドル超となる見込みだ。

市場が拡大
ベトナム青果協会(Vinafruit)によると、今年のベトナムの果物・野菜の輸出は毎月約1億2000万ドル前後だった。最大の輸入国は中国で、10月までにベトナムの青果総輸出額の26.79%にあたる3億3764万ドルを輸入した。これに日本が6261万ドル(総輸出額の4.97%)、韓国が4909万ドル(同3.89%)、米国が4844万ドル(同3.84%)と続いた。

青果輸出の増加は、生の果物・野菜の輸出が増えたことに加え、ベトナムの青果業界が冷凍の缶詰製品製造に積極的に取り組んだことで、付加価値が生まれ、各国への輸出増大につながったと同協会は分析する。その結果、香港への輸出は昨年同期比165.86%増、アラブ首長国連邦へは同113.25%増、韓国へは103.78%増、オランダへは65.5%増と、輸出の急増が実現した。

ベトナムの青果製品が各国の食品安全衛生基準に合致する高い品質を保ったことから、ベトナム産の果物や野菜は米国、オーストラリアや韓国市場にも歓迎された。この努力もまた、青果輸出増に貢献した。2015年以降、米国やオーストラリアが、ベトナムからの生のライチやリュウガン(竜眼)などの果物輸入を解禁する。

バクザン省人民委員会と同省科学技術局は、イスラエル企業のジュラン社とアン・フー放射線照射・合資会社と共同で、ライチの保存技術についてのセミナーを開催。アメリカに輸出する果物に施される放射線による殺菌・殺虫技術について紹介した。このような技術と日本から得た最新の果物加工手法などが、2015年のライチ輸出を支えることになるだろう。

加工に重点を
ここ数年間、ベトナムの果物と野菜の輸出は毎年およそ30%ずつ増え続けており、2013年には年間輸出総額が10億7000万ドルに達した。これは前年比29.8%の増加で、2009年以降もっとも高い年間輸出金額だった。

農業・農村開発省の統計によると、果物と野菜の栽培面積のうち、85万ヘクタールで栽培されている野菜の収穫量は1450万トン。果樹園は80万ヘクタールを超え750万トンを産出する。海外で人気が高いベトナムの果物や野菜には、ドラゴンフルーツ、グレープフルーツ、マンゴー、ライチ、ランブータン、トマト、きゅうり、豆類やミントなどの香草類などがある。輸出された野菜や果物の90%以上が生の青果だった。果物や野菜の保存にはまだ課題が残されており、国内にある100以上の果物や野菜の加工工場で年間30万トンの加工が可能にもかかわらず、加工商品は依然として、輸出のなかで小さな割合を占めるにとどまっている。

そこで、協会では生の青果の輸出増加を図るとともに、食品に加工する(パイナップル、ライチ、とうもろこし、にんじん、ナンバンカラスウリなど)、ドライフルーツ、乾燥野菜にする(ジャックフルーツ、サツマイモ、バナナなど)など、付加価値をつけることが、さらなる輸出増加につながるとしている。そのために、青果類の生産体制を大規模化していくほか、新しい品種の採用、集中的な作物栽培技術の確立、そしてベトナム版の適正農業規範(VIET GAP)やGLOBAL GAPなどの証明取得が必要になると指摘。今後、生産者と保存・加工業者、貿易会社、そして機材供給企業などは、密に連携して、輸出する果物や野菜の品質を高め、維持することが求められるだろう。