国産初の220KV変圧器 設置完了

ベトナム国産第1号となる220キロボルトの大型変圧器が完成し、このほど設置された。国際規格をも満たす高い品質でベトナムの電力工学の進歩を記すとともに、今後の大量生産や輸出などの展望も期待される。

必要性から生まれたプロジェクト
変圧器は、送電システムの重要で不可欠な要素だ。国家電力開発計画によると、ベトナムの電力需要は2016年から2020年にかけて11-15%増加すると見込まれている。これに対応するためには、220キロボルト級の変圧器が、国内で最大820基必要になると試算されている。

そこで2012年に始まったのが、国産の大型変圧器の開発・設置プロジェクトだ。

2012年に、国家科学技術プログラムの一環として始動し、エンジニアでもある、ドンアン電気機器株式会社(EEMC)のトラン・ヴァン・クアン総合ディレクターが指揮をとった。

2年間の研究を経て、プロジェクトチームは220キロボルトの変圧器を製造するための詳細な設計や技術プロセス、生産ラインの準備などを行った。新技術を応用しながらも、国際的な検査基準に適合するように設計された試作品は、英国のインターテック社の研究設備で検査を受けて合格、今回の実用化に至った。

事業は、国内の電力供給を安定させるねらいに加えて、変圧器の外国からの購入を減らすことによる経費節減や、国内の電気関連メーカーの競争力、技術力の向上にも期待が寄せられる。

継続的な生産へ いずれは輸出も
第2段階に入ったプロジェクトが、次に目指すのは継続した生産だ。準備はすでに進められており、ドンアン電気機器株式会社では、当初、年間10基の製造を計画している。

220キロボルト変圧器の製造に成功したことは、高電圧絶縁体製造のほか、石油化学、自動化、機械製造などを含む周辺産業の発展も喚起した。「国内での製品製造が活発化すれば、数千人規模で労働者の誘致、技能訓練が加速する」とクアン氏は期待する。

ベトナム国産初の220キロボルト変圧器だが、全国の電力システムの作動要件を満たしているほか、国際規格IEC60076に適合する。品質の面からみても、NHUやAEG(ドイツ)、ABB(スイス)、アレバ(フランス)などのヨーロッパの大手メーカーの製品に対抗できる競争力を持つ。国内で大量生産できれば、外国製品を購入しなくてもよくなり、支出を大きく減らすことができるし、国内の電気関連業界の発展にもつながる。今後、プロジェクトではさらに、製品の海外輸出も目指していくという。