2014年のベトナムの自動車市場は、年間の国産・輸入新車販売台数が、年初見込みを上回る15万台を達成し、評価すべき1年となった。2015年、消費者の関心事は関税引き下げのタイミングで、それによって自動車価格が下がることが期待されている。

予想以上の成長
ベトナム自動車工業会(VAMA)によると、前年同月比の新車販売台数は、昨年11月まで20カ月連続で増加。11月だけでも前年同月比57%増の約1万6000台を販売し、ベトナムの自動車市場が熱く成長したひと月となった。

2014年の販売台数がそれほど伸びると予想したベトナム企業は少なかった。各企業は楽観的に試算しても、年間販売台数15万3000台(2013年比40%増)との見込みだった。だが実際は、その楽観的な見込みをも超える実績で、11カ月間の累計販売台数は13万7千台を突破。VAMAは新車販売台数見込みを2度も上方修正した。販売が鈍ると言われた12月も勢いは止まらず、過去最高(09年、約16万台)には及ばなかったものの、年間総販売台数で15万7800台を超え、全体でも昨年と比べて36%増となった。

注目すべきなのは、国内メーカーが新しいモデルを出したり、割引や販売促進活動を通して販売台数を増やしたりしたことだけではなく、輸入車の数が大幅に増えたことだ。関税局の統計によると、11月中だけでも輸入車販売台数は昨年同期比274%増、金額ベースでも207%増となった。

2014年1‐11月の輸入台数は61,595台で、数量では昨年同期の95.5%だったが、金額ベースで109%増となった。このうち、9人乗り以下が27489台を占めて総額3億2700万ドル、トラックは24114台で5億6100万ドルの売上高だった。

ベトナムへの自動車輸出のトップは韓国の14766台で、金額ベースでは総額2億6700万ドル。2位はタイで12953台(2億1800ドル)。中国は11631台で(4億5100万ドル)、インド10922 台(4400万ドル)、日本3995 台(1億3100万ドル)、ドイツは1977台(6900万ドル)、インドネシアは1626台(1600万ドル)と続く。

自動車価格の引き下げに期待
2014年の自動車市場が成功したポイントの一つに、景気が回復したことだけではなく、各企業が消費者の購買促進に力を入れたことがある。新しいモデルが頻繁に出され、10月、11月には計約30種以上の新型車が市場デビューした。また、メーカーや販売店による販売支援が行われ、購入者への割引も少なくなかった。

しかし、実際に消費者が期待するのは、それらの対応よりもむしろ、自動車の価格そのものが安定し、引き下げられることだ。

ASEAN物品貿易協定(ATIGA)が2015年から有効になるため、昨年末には、9人乗りタイプ以下の自動車は数億ドンまで価格が下がると噂になった。だが、複数のメーカーによると、値下げがあったとてしても、ベトナムのAFTA(ASEAN自由貿易地域)に加盟が完了し、自動車にかけられる輸入関税が完全撤廃された2018年以降になるとの見込みである。

この点に関して、VAMAは、「2015年の年初の税制政策が自動車の値下げにインパクトを与える可能性は少ない」との見方を示す。VAMAのメテロ・N・アリアス・ジュニア前会長は2015年中に自動車価格が数千万ドンまで下がることはないと予測した。

最大の理由は、2015年は自動車に対する関税が何も変わらないからだという。メテロ前会長によると、ATIGAが有効になってから2018年までの間に、どのようなスケジュールで関税を引き下げるのか、現時点では財政省からの報告がないという。当面、2015年の輸入関税に関しては、VAMAと官房長官の打合せで現状の関税率50%維持が提案されているという。

商工省は、2018年に輸入関税を0%まで下げるにあたり、詳細のスケジュール設定が必要であるとしており、2017年までは関税50%を維持する考えだ。一方で、財政省は2015年は自動車輸入関税を50%で維持するが、2016年に40%、2017年に30%とする段階的な引き下げを提案している。この提案もまだ、ベトナム政府に承認されてはおらず、「どちらの案をとるのか、最終決定を待つ階段」(メテロVAMA前会長)だという。