ベトナム アウトソーシングで初の世界1位

米国の不動産コンサルティング会社の調査で、ベトナムが初めて世界のアウトソーシング供給国で第1位に選ばれた。各国のコストやリスクなど様々な条件を比較した結果で、割安な労働コストや事業誘致策などが評価されて、中国とインドを抜いた。

写真㊤=アウトソーシングでイヤホンを製造するベトナムの工場

調査は、米国の不動産コンサルティング会社、クッシュマン&ウェイクフィールド(C&W)が実施した。それによると、製造・加工のアウトソーシング受注で市場規模として最大だったのはインドだったが、ベトナムは、政府がさまざまな優遇措置を取っていることが海外企業にとって魅力となっていると分析。教育や職業訓練への投資強化などにより、農村から都市部への人口移転が進んでいることなども、ベトナムの順位引き上げに貢献した。

また、ベトナムが安定した労働力を抱えていることも利点だ。毎年、30歳以下の労働人口が約100~150万人労働市場に加わるなど労働力が安定供給される。賃金も近隣諸国より抑えられているため、ベトナムは海外投資家にとって魅力がある。特に、ソフトウェア産業の発展は著しく、現在はソフトウェアの開発企業が約1000社で約8万人の社員を抱えるなど、世界における主要なソフトウェア輸出国となっている。日本向けのアウトソーシングでは第2位の地位を占める。

クッシュマン&ウェイクフィールド社のベトナムにおける調査・評価部門の責任者、ジョナサン・ティザード氏によると、調査は「ベトナム政府の安定したビジネス環境の創出や若者に対する職業教育の成功が現れた順位」だとした。ベトナムへの外国直接投資(FDI)は増えており、2015年に自由貿易協定が締結された後は、さらに増加するとした。

その上、2015年7月に、住宅法と不動産経営法が有効になれば、ベトナムへの投資の条件がさらに改善されるとみる。

アジア太平洋・ヨーロッパ・中東・アフリカにおけるC&Wサービス部門の責任者、リチャード・ミドルトン氏によると、ベトナムはアウトソーシングのコスト面で最も安価な市場というわけではないが、ほかの国と比較して競争性が高いと分析。インドと中国で賃上げが進んで人件費を押し上げたことから、今回、ベトナムが2015年に第1位に躍進したとしている。