トラック市場、競争激化

貨物車市場をめぐるメーカーの競争が激化している。ドイツ系企業のメルセデスベンツ・ベトナム(Mercedes Benz Vietnam=MBV)はこのほど、多額の費用をかけて小型貨物トラック「三菱ふそうキャンター」の大々的な販促キャンペーンに乗り出した。

一例を挙げると、キャンターブランドの小型トラックの購入者は、無料点検とパーツの20%引きの優遇を受けることができるようになる。

MBVのグエン・ジュイ・ドーン専務は、「クラス最高のサービスを、手ごろな価格で提供するこのキャンペーンは、ユーザーのみなさんからも歓迎していただけるでしょう」と期待をこめる。

キャンペーンは、農村部で強みを持つ同社の小型トラック分野の市場拡大にかける意気込みを物語っている。

親会社であるドイツのダイムラー社の傘下に入る前、MBVの扱う三菱ふそう小型トラックのラインナップはわずか、4車種しかなかった。そして、耐久性や燃費性能に対する高い評価と賞賛にもかかわらず、2013年のふそうトラックの販売台数はわずか761台に過ぎなかった。

ドーン専務によると、三菱からメルセデスベンツへの移行に伴い、2014年の販売台数は多少改善されてきた。今年は大きなブレークスルーの年にしたいとしている。

ベトナム市場で20年間にわたってビジネスを展開してきたMBVだが、小型トラックの販売拡大戦略は、変化しつつある。背景には、最新鋭のトラックを望むユーザーの意識変化や、政府の過積載規制などがある。

小型トラック分野における、ふそうトラックのライバルは、韓国や中国から輸入されたトラックだ。ベトナム最大手のトラックサプライヤーのチュオン・ハイ・オート社(The Truong Hai Auto Corporation=THACO)は、昨年2万500台を販売、うち95%が小型・中型のトラックだった。この数字は、ベトナム国内の小型・中型トラックの約半分に相当する。

THACOのマイ・フォック・ギェ・セールスディレクターによると、厳格な品質チェックにより、トラックの販売は好調という。トラックの過積載に対する政府の締め付けが厳しくなる中、物流業者は、サービス充実のために、トラックの台数を増やす必要に迫られている。ギェ・セールスディレクターによると、同社は今年3万5000台のトラックを販売、うち90%は8トン以下のトラックだった。

「われわれの販売拡大計画は、整った供給体制がベースにあり、製品のトラックは積み荷に関する法規にも適合しています。だから、好調な販売が続いているのです」(ギェ・セールスディレクター)

THACOは、国内70の販売店のネットワークを有しているのが強み。一方、安価な中国製の車は、一般的に交換部品がみつかりにくいなど、アフターサービスに乏しいとの報告がある。