政府、硫黄多く含む軽油を販売停止、バイオ燃料使用は低迷

グエン·タン·ズン首相はこのほど、硫黄を多く含むディーゼル油(軽油)燃料の販売規制を承認した。一方で、植物原料を使ったバイオガソリンの市民利用は低迷しており、燃料をめぐる政府の環境配慮の方針が市民に浸透するまでには、まだ時間がかかりそうだ。

流通停止が承認されたのは、「0.25%S規格」と呼ばれる硫黄含有率が0.25%以下のディーゼル油。2016年1月1日から適用される。

ベトナム国内では現在、同製品と硫黄含有率が0.05%以下の「0.05%S規格」の2種類が流通している。硫黄の含有率が高いと、有害な排気ガスが増えて大気汚染が引き起こされるとともに、潤滑剤の効果を打ち消す硫酸が生成され、結果的にエンジンの寿命を縮めることになるという。

しかし、市場に2種類の軽油が流通していることで、国家当局や石油卸売業者らによる品質管理が難航。0.25%S規格の方が安価なため、これを価格の高い0.05%に混ぜて販売する悪質なガソリンスタンドなどがあったという。

一方で、政府の重要プロジェクトである環境に優しいバイオ燃料も、予想ほど市場には受け入れられていないようだ。

政府は2007年、エタノールなどの植物性原材料を使ったE5ガソリンなどのバイオ燃料精製の当初の精製目標を500万立方メートルにかかげ、2015年までの達成を目指していた。このプロジェクトのために、ペトロベトナム(PVN)はフート、クアンガイ、ビンフックの各省には、3カ所のバイオ燃料プラントが建設された。「キャッサバいも」を原材料としたE5ガソリンの精製を展開してきた。

バイオ燃料の販売網が拡大し、手軽に購入できるようになったにもかかわらず、その利用率は低い。

PVオイルによると、バイオ燃料の販売網は順調に拡大しているが、例えばE5ガソリン実際の消費量は10万立方メートル程度で、この量は3カ所のエタノール精製プラントで製造できるそうエタノール量のわずか30%にすぎない。

原因はバイオ燃料を使う動機となる利点が明確にされていないなど、知名度を上げるための販促活動が不足している。PVNは交通運輸省と提携し、公共交通や同省関連企業でのバイオ燃料使用を始めている。例えば、ホーチミン市交通局では「500台のバイオガス燃料バス運行プロジェクト」などを展開し、市民へのバイオガソリン使用をPRしている。