ライチを新たな輸出品に 米国や仏、豪州の市場へ

ベトナム政府と地方自治体、企業が一体となって、ライチの輸出拡大に力を入れている。米国や仏に次いで、このほど豪州にも3㌧を輸出。国内の総生産高からすると、わずかな数字だが、ライチの輸出拡大に向けたベトナムの取り組みは、好調な滑り出しを見せている。

「ベトナムのライチは、輸出先の米国や仏では非常に好評で、米国や欧州市場においては、ライバルである中国やメキシコ、南アフリカ、タイ、マダガスカル産よりも競争力を有する商品となっている」。バクザン省(県)ル・ガン地区人民委員会のタン・クアン・タン委員長はベトナム産ライチの市場競争力の高さを強調する。「カリフォルニアに到着したベトナムのライチは、たった1日で売り切れる。輸出量を増やせば、米国ではまだまだ売れるのは間違いない」

同地区人民委員会によると、生ライチは、米国で1㌔当たり17㌦(約2100円)で取り引きされている。一方、ポルトガルやモナコ、アンドラ、中央アフリカ共和国を管轄する在仏のベトナム貿易事務所によると、ベトナムから仏に輸出されたライチは、1㌔あたり10ユーロ(約1300円)で取り引きされている。

ライチや他のくだものの輸出拡大に向け、商工省は、在外貿易事務所に対し、政府当局や企業関係者と接触する機会を増やすよう、伝達している。また、同省の下部組織である易振興庁は、ベトナム航空に対し、フランスへの生ライチの空輸にかかる輸送費を20%引きにするよう要請してきた。

貿易会社のタン・ビン・ジュン貿易では、フランスをはじめ、他のEU加盟国に対するベトナムのライチ輸出は、今後さらに拡大するとみている。一方、AIC社では、ライチ生産者の新技術導入を支援。同社は、海外市場でより競争力を高めるためには保存、加工技術をもっと改善していかなくてはならない、としている。「ベトナムは今後2~3年で、ライチの国内生産高の50%を輸出でするようになると期待している」と同社のグエン・ティ・タン・ナム社長は語る。米国やEU諸国へのライチ輸出が成功すれば、ライチ以外の他の農産物の輸出にも新たな道を切り開くきっかけにもなりそうだ。

商工省のチャン・チュアン・アン副大臣は、地方自治体の首長に対し、地元企業と一緒になって、海外市場に向けたライチの長期にわたる輸出促進プログラムを作成することを求めている。アン副大臣は、ベトナムのライチは世界市場において主要な地位を占めることができる潜在力を有しており、その成否のかぎを握るのは品質の保証だとみている。