ベトナム経済界、TPP後の日越協力に期待高まる

ベトナムで日本企業との連携や協力への期待が高まっている。ベトナム商工会議所(VCCI)と日本貿易振興機構(ジェトロ)が10月中旬に行った「2015日越経済フォーラム」では、両国の政府関係者や企業関係者ら約300人が今後の発展のあり方を協議した。

写真㊤=日越経済フォーラムでスピーチするホアン・チュン・ハイ副首相
フォーラムは10月14日、ハノイ市内で開催され、6分野での工業化や経済協力を目指す「2030ビジョン」などが両国政府の間で話し合われた。また、企業関係者らが、環太平洋経済連携協定(TPP)合意後の日越関係などについて討議した。

フォーラムに出席したベトナムのホアン・チュン・ハイ副首相は「TPPは日越経済において、裾野産業や農業など発展させることに大いに役立つだろう」と期待を述べた。また、日本企業に対しては「投資環境をさらに改善できるよう、日本政府、日本の企業各社としっかり協力していきたい」と約束した。

ベトナムが、日本政府や日本の企業に継続的な投資を求めているのは、電子部品や機械部品▽農業機械▽農産水産物加工▽造船▽環境・省エネルギー分野▽自動車と自動車部品の製造-の6分野だ。

フォーラムでのさまざまな報告によると、日本はベトナムの最大パートナー国の一つで、加工業、製造業、不動産・建設などの分野で、日本企業約1500社が2661件のプロジェクトでベトナムに投資しており、総登録資金は約377億ドルにのぼる。また、両国の貿易金額も年々増えており、2014年276億ドル、2015年(1~8月)も190億ドルに達したという。

ジェトロによると、日本企業の対ベトナム投資は、安定はしているものの、国内で完成製品まで仕上げる現地生産率でみると33%にとどまる。これは、タイ(55%)やインドネシア(43%)に比べて低い数字だ。

このためジェトロでは、まずはベトナムが海外向けに部品や設備などを多く提供できるよう、裾野産業と中小企業を発展させる必要があると分析。各国のメーカーとベトナムの部品製造企業などとの橋渡しを実現するという。

また、農業関連分野でも、日本の機械化された農業や最先端技術、高品質の農産物栽培の手法などを紹介していく考えだ。

ジェトロが行った日本の企業対象の調査によると、「新たに海外進出を考えている」と解答した日本の中小企業521社のうち、130社がベトナムを進出先として検討しており、タイ進出を希望する日本企業(78社)の約2倍となった。

ベトナム経済界ではこれをチャンスとみており、日越経済の関係が深まるとの期待が高まっている。ベトナム商工会議所のブー・ティエン・ロック会長は「今後、インフラ整備や裾野産業の促進、日本市場への農産・水産物の輸出などを促進できるよう、VCCIはジェトロや日本大使館と協力していきたい」と意欲を見せている。