日本製品、コンビニ通じベトナムに販売拡大へ 中小企業の商品PRも

ベトナムを重要市場とみる日本の食品や消費財メーカー各社が、自社製品をベトナムに浸透させる拠点として、日系コンビニエンスストアに注目している。スーパーにはない気軽さや利便性を生かし、日本の商品やサービスをベトナムの消費者に直接アピールする考えだ。

写真㊤=ベトナムのコンビニエンスストア。その店舗網経由で、日本製品の流通拡大が計画されている

販売網の拡大に期待
3月下旬、日本の林幹雄経済産業相とともに、ファミリーマート、ミニストップ、セブンイレブン、ローソンのコンビニ4社の代表や食品・日用品メーカー16社の関係者らによる代表団が、ベトナム視察でホーチミン市を訪れた。そのさい、一行は「日系コンビニエンスストアを、ベトナムでの日本商品の販売チャンネルとして重要視している」と明らかにした。

ベトナムでは最近、日系小売り大手が大型スーパーやショッピングセンターなどを進出させている。にもかかわらず、特にコンビニを重視する姿勢を打ち出したのは、コンビニが周辺住民のニーズに合った商品提供の場であり、商品の在庫数や取扱商品などで臨機応変な仕入れがしやすいからだ。そのため、日本でもコンビニはしばしば、消費者の嗜好調査や新商品のテスト販売などに活用されている。

日本の企業は、この方式をベトナムでも導入し、ベトナムでのマーケティングや長期的な商品提供につなげたいと考えている。日本の製品や技術のショーケースとして、特に優れた品質で手ごろな価格帯の商品を厳選するという。

また、コンビニは日本製品をアピールできるとともに、払い込みや電子マネーの取り扱い、さまざまな金融手続きの代行など、日本のコンビニで行われている多様なサービス提供を、ベトナムでも展開させる契機になるともみられている。日本では利用の多い公共料金の払い込みやチケット購入などはベトナムでもニーズが高いとみられ、サービスの発展が期待される。

日本の製品や技術力PR
日本にとって、ベトナムは東南アジア一帯でももっとも魅力的な市場のひとつととらえられている。環太平洋経済連携協定(TPP)の締結により、日本の製品がより魅力的な価格でベトナム市場に届けられるとの期待も大きい。

訪越した林経済産業相は、「さまざまな追い風がある。日本貿易振興機構(ジェトロ)や在ホーチミン日本国総領事館、関連する金融機関などと協力し、日本企業がベトナム市場に商品を導入しやすくなるよう、ベトナム側との連携を強化したい」と述べた。

ジェトロ・ホーチミン事務所の安栖宏隆(やすずみ・ひろたか)所長は、ホーチミン市にはすでにファミリーマートやミニストップが約130店開業中で、今後も店舗網や規模を拡大する計画であると紹介した。具体的には、ミニストップは、ベトナム国内に今後800店を開店する計画。一方のセブンイレブンは、2017年までに1号店を開設し、2020年には店舗数を100店まで伸ばしたい考えだ。

日本のメーカー各社も、コンビニの店舗をベトナムにおける日本製品の主要販売窓口と注目している。ジェトロでは大手メーカーによるものだけでなく、日本の中小企業がつくるさまざまな魅力ある製品をコンビニ経由でベトナムに紹介したい考えで、具体化に向けて貿易会社などとの連携も深めている。