ベトナム南中部沿岸のビンディン省に計画されていたニョンホイ石油精製所建設計画が見直され、規模が縮小される可能性が高まった。同精製所には数十億ドル規模の投資が計画されていたが、約3年間、進展のないまま停滞していた。

ビンディン省のホー・コック・ズン人民委員長は5月初旬、ニョンホイ開発を先導するタイの大手石油会社PTTとサウジアラビア王国の国営石油会社、サウジアラムコの2社が、当初の開発計画を見直し、施設規模を縮小する可能性を示した、と伝えた。

2012年当初の計画では、総投資額は287億ドルを投資し、1日当たり石油精製量66万バレルを目指していた。しかし、今回の提案で、投資規模を約220億ドルに減額し、生成量も1日40万バレルに縮小する考えを示したという。

2社は、6月に開発の進展について発表する予定で、ズン委員長は「それまでは計画を現状のまま続行するか、縮小するかの決定は保留となっている」と話した。

世界的な石油価格の下落を受け、プロジェクトでは、石油価格の変動の影響を考慮して計画の分析や再検討を行うため、このほどベトナム石油協会などから専門家を招致。今回の規模縮小案は、その結果として浮上した。

ニョンホイ経済特区管理当局のグエン・ゴック・トアン副局長は、省当局と進出している2企業などで近く会合を開き、そのうえで開発計画の方向性を決定すると説明した。

ベトナムでは、数10億ドル規模の石油関係プラントの計画が他にも進行中だが、それらもギソン製油所同様、世界的な原油価格低迷で投資意欲に冷え込みが影響して難しい状況に直面している。

例えば、ベトナム南部バリアブンタウ省のロンソン石油化学工場のプロジェクトは、先行きが不透明だ。総投資額約45億ドルの計画に投資していた主要4企業のうち、カタール石油が昨年、事業から撤退したからだ。

一方、カントー市では、投資総額5億3800万ドルのカントー石油精製所計画が遅々として進まないため、投資企業に付与された事業ライセンスを取り消すよう計画投資局がカントー市当局に求めるという事態になっている。

ベトナムでは石油精製や石油化学関連のプラント開発が10カ所で進められており、完成すれば年間6000万トンの石油を精製できるポテンシャルをもっているとされる。しかし、投資資金の不足などで計画はいずれも停滞しており、現時点では稼働しているのは中部クアンガイ省のズンクアット製油所だけとなっている。

ズンクアット以外の石油精製施設では、原油を中東やアフリカ諸国、南米から輸入する前提で計画されているため、ベトナム国内での燃料製造の競争力を引き下げていると指摘されている。