カカオ豆の輸出大国目指すベトナム=栽培拡大の試みも

 ベトナムは、アジア地域でカカオの輸出大国の一つになると期待されている。同国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国との自由貿易協定(ACFTA)の加盟国であり、競合する西アフリカや南米産カカオ豆と違って、関税がかからない点で有利だ。カカオ豆の消費量はここ10年間で、中国で3倍、インドとブラジルで2倍に増加した。ベトナムネットが7日報じた。

 カカオ豆の生産量は、樹木の老齢化や病害虫が原因で、消費量を下回っている。さらに、西アフリカや南米は栽培の技術が低く、質の高いカカオ豆が提供できずにいる。国際ココア機関(ICCO)の統計は、生産量が増えずに消費量が増え続ければ、2020年までにカカオが供給不足に陥るとの見方を示した。
 ベトナムは、04年~12年にかけて政府や非政府組織、チョコレート製造会社の協力によりカカオの栽培面積が拡大。05年の4270ヘクタールから12年には6倍にまで拡大した。しかし、12~13年にカカオ豆価格が下落して栽培が控えられ、面積は15年に半分近くに縮小した。農家は価格の下落を恐れ、いまだ栽培に躊躇(ちゅうちょ)している。
 米食品大手マースの前ココア開発責任者のディン・ハイ・ラム氏は、カカオの安定栽培に高度な栽培技術を導入すべきだと述べた。同氏は、カカオ栽培を後押しするため、カカオ・インターナショナル・コーポレーション(CIC)を設立した。CICが生産拡大に成功すれば、ベトナムが最高品質のカカオを提供する輸出国となる見込みがある。
 ベトナム産カカオは、13年のパリのチョコレート国際品評会「サロン・デュ・ショコラ」において、ピュラトス・グランプラス・ベトナム社のカカオ豆がアジア太平洋地域の最優秀カカオに認められてから、ガーナやブラジル産のように高品質なことで注目されている。(時事)