さまざまな技術的課題を克服し、今年、ベトナムの果物の国際市場への参入は目覚ましいものとなった。果物の輸出増に期待が高まる一方、長期的、安定的な輸出のために果物の品質向上や厳しい食品安全基準を満たす対策など、今後さらに努力も求められそうだ。

写真㊤=ベトナムの果物輸出が農業部門に利益をもたらすと期待される

◇海外市場に続々参入
農業農村開発省によると、農産物、林業、水産加工品などの9つの輸出品目の中で、果物の輸出は成長スピードが特に早く、その輸出金額は第3位となっている。

2016年の1~9月のベトナムの果物輸出額は、昨年同期比31%増加し、約18億ドルを達成。これまで農産物の輸出品として最も多かったのは米だったが、今年、それを果物が初めて越えた。

輸出されている29種類の果物で最も多いのはドラゴンフルーツ(ビンフック省タンロン産)で、輸出額は7億ドルに達する。これは、全果物の輸出額の約50%に相当する。

今年下半期から年末にかけて、果物業界には多くの吉報がもたらされた。例えば、マンゴスチンは北アメリカ市場へ、バクザン省のライチはオーストラリアへの輸出が、それぞれ許可された。植物防疫局のホアン・チュン局長は「将来、ドラゴンフルーツ、ランブータン、ロウガン(龍眼)、ライチ、マンゴスチンなどの果物も市場としてポテンシャルのあるアメリカ、日本、韓国へ輸出が許可されると期待している」と話す。

このようにベトナムの果物が急増した背景には、ベトナムの果樹栽培が向上し、海外の厳しい輸入条件に対応できるようになったということがある。アメリカはその典型例で、ドラゴンフルーツ、ランブータン、ロウガン、ライチの輸入を始め、さらにマンゴー、ミルクフルーツについても交渉中だ。

日本市場も、長い間課題となっていた害虫処理プロセスなどにベトナム側が成功したことから、マンゴーとドラゴンフルーツが輸入を許可。今年から日本の消費者に届けられている。

◇業界に課題も
ホアン・チュン氏局長によると、ベトナムの果樹園の面積は78万6000ヘクタールあり、中でも最大の栽培エリアであるメコンデルタは、全栽培面積の40%を占める。ドラゴンフルーツ、マンゴー、ランブータン、ドリアン、ミルクフルーツ、ザボン、ロウガン、バナナ、パイナップル、オレンジ、マンゴスチンとミカンを主力商品となっている。

科学技術の進歩に加え、植物栽培の専門家らと協力して栽培技術が向上されたおかげで、生産性や果樹の収穫量も増加した。

しかし、国内の果物業界は今なお多くの困難にも直面している。果樹生産者は栽培規模がまだ小さく、品質と数量が確保できないこと、果物輸出会社は経験に乏しく、管理面が弱いことなどが課題として残る。

経済専門家によると、ベトナムの果物輸出は急増しているが、収穫した果物をそのまま販売することが主流で、乾燥したり、缶詰や果汁などへ加工したりする例はまだ少ないという。市場を拡大するためには、自国内でこのような加工を増やすことが重要で、果物生産エリアの再設定や加工施設への投資が必要となる。ベトナムの果物輸出のポテンシャルを発揮させるためには、輸出先の多様な条件に応えられるような国内規制の準備も必要だと指摘しており、国は各企業に対して生産グループの連携を促すほか、必要な規制などで支援を続けていくという。