ハイネケン、ビール2位に 環境や雇用対策に好感

1991年、ベトナムに進出したオランダの大手ビール会社、ハイネケンの出資する合資会社、ハイネケン・ベトナム醸造所が、サイゴンビール・アルコール飲料総公社(SABECO)に次ぐベトナム第2位のビール会社に成長した。同社の世界拠点中でも2番目の規模という。ベトナム進出25周年を迎えたハイネケンの成功は、環境やソーシャル・ビジネス、地域の雇用創出や地産地消を重視する姿勢が高く評価された結果と言える。

地域経済とともに成長
ハイネケン・ベトナム醸造所・協議会のル・ミン・トラン会長は「25年という長期間のパートナーシップは、われわれの強固な関係を物語っている。ハイネケンのように長年、国や企業に利益をもたらしてきた企業と固い信頼関係を結ぶことができてとてもうれしい」と話した。そのうえで「支援してくれたベトナムの中央政府や地方、ビジネスパートナー、消費者に感謝しています」と謝意を表した。

25年にわたって同社は、単に良質のビールを製造するというだけではなく、国と地域に大きく貢献をしてきた。当初はたった20人だった従業員も今や2000人に。1種類だったビールも8ブランドに、醸造所の数も5カ所になった。その経済貢献規模は、GDPの0・5%にあたる年間20兆ベトナムドン(約1000億円)を占めるまでにいたっている。

同社のレオ・エバーズ・ディレクターは、「将来的には、水の消費量のいっそうの抑制やCO2排出の削減に努め、地域社会における企業の責任を担っていきたい。そして、次の25年も、よりよいベトナムを〝醸造〟するために積極的に貢献していきたい」と語った。

同社は、地域の資源と労働力の活用を公約し、輸入に頼らず、地元経済の活性化や雇用創出に力を入れてきた。25年周年記念の祝いにかけつけたハイネケン・アジア太平洋のフランス・ユーズマン社長は「ベトナム市場はハイネケンにとってカギとなる市場だ。われわれが、この国で歩んできたエキサイティングな〝旅〟を、これからも続けていきたい」と話した。

環境配慮でもトップを走る

ビジネス的な成功だけでなく、ハイネケン・ベトナム醸造所は、「よりよいベトナムを醸造する」という哲学のもと、持続可能な社会の実現という点においても、数々の成果を残してきた。一例を挙げると、2014年以来、二酸化炭素排出量を50%削減したほか、水の消費量も2004年の40%にまで削減。地球的規模での持続可能な発展に対する企業の貢献度を報告するサスティナビリティレポートをベトナムの企業としては初めて導入した。

現在、同社の製品の5分の3は、100%バイオマスやバイオガスといった再生可能エネルギーによって製造されている。また、工場からの排水も厳格な処理システムを導入し、環境負荷を低減している。

また、ソーシャル・ビジネスの面では、100億ドン(約5100万円)をかけた水質改善プロジェクトをこのほど発表。それによると、ホーチミン市とダナンの川沿いに設置される水の浄化装置設置や、クァンナム、ティエンザン省、ブンタウでの浄水施設設置などを進めるとしている。