製造から流通にシフト 日本からの投資に変化

日本からベトナムへの投資が、製造部門からサービス部門へとシフトしている。現在、投資件数は549上るが、全体に占める製造業の割合をみると、2015年の3割から2割に減少。一方、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売業の件数は倍増している。

ベトナムでは現在、小売り大手のイオンや大手コンビニエンスストアのファミリーマート、ミニストップ、百貨店の高島屋などが店舗を拡大している。

ジェトロ・ホーチミン事務所の滝本浩司所長は「日本の投資家はベトナムの政治的、社会的安定を高く評価している。こうしたなか、消費財の需要が急増しており、流通業界では店舗網の拡大を図っている」と話す。また、日本の市場調査の専門家は「強い成長力と若い世代が多い人口構成が、日本の小売業者をひきつける魅力だ」と分析している。

経済発展による中間層の台頭と収入の増加は、さらに消費を刺激。とりわけ、高品質な日本のモノやサービスに対する人気は高い。

一方、製造業に陰りが見えるのは、ここ数年で人件費や物価が上昇したことも無関係ではない。結果的にコスト面での国際競争力は低下。こうしたなか、日本企業の需要に十分対応できなくなってきた地方の工場もある。

製造業において優位な立場を維持するには、IT化を進め、労働者の技術を向上させることが不可欠となっている。また、労働者の日本に送り、職業訓練させるなど、これまで以上の努力が必要になってきている。