伸び悩むグリーン経済 利益か、環境への配慮か…

環境への配慮などグリーン経済への関心が世界的に高まっている。こうしたなか、ベトナムでも持続可能で環境にやさしい経済、ブランドの発展に力を入れている。しかし、収益性と環境をどのようにバランスさせていくのかという難問があり、産業界への浸透はいまひとつだ。

ブランド競争力戦略協会(略称:BCSI)のコーディネートによって、商工省とベトナム貿易振興庁(略称:VIETRADE)がこのほどハノイで開いたセミナーでは、グリーン経済の課題や問題点が議論された。

調査会社、ニールセン・ベトナムによると、今や80%以上の消費者が、価格が高くても環境に配慮するなど、持続可能な社会の実現に取り組む企業の製品を購入することに同意している。高品質かつ環境にやさしいというブランディングにもとづく製品は、そうでない製品よりもずっと大きな成功を収める傾向が強い、という。

製剤のために植物を栽培する安全な農場作りをすすめてきた製薬会社のトラファコの担当者は、「グリーン経済に貢献することによって成功することができた」と話した。環境への配慮が、企業の競争力アップにつながってきたという。

BCSIのブ・チュアン・ロン氏は、「企業にとって、最大の難問は、環境によい製品と収益性の両立だ。余裕のない中小企業の場合、新たな設備や技術を導入するのが困難だ」と指摘した。環境にやさしい製品は、ベトナムではまだ一般に広く浸透しておらず、先進的な技術を持つ企業も、人材不足などの理由でそれらを十分に生かし切っていないという。

国内の消費者の大半は、環境にやさしい製品は、まだまだ富裕層のものだと思っている。国立経済大学の調査によると、大都市の消費者は、環境にやさしい製品のために、喜んで高いお金を払うが、地方の消費者は、そうは思わない。高いお金をはらう「意味」について、十分理解していないのが実情だ。

VIETRADEの代表者は、企業と環境に優しい製品やブランドの発展に向け、間もなく資源・環境省とともに、ベトナム・エコ・ラべリングプログラムを含む国家ブランディング・プログラムの計画の立案と目標設定を行うことを明らかにした。

経済学者の ルー・ビチ・ホ氏は、「企業をグリーン経済に導くうえで、国家は重要な役割を担っている。環境にやさしい持続可能なグリーン・ブランドを確立するには、長い時間と努力が必要だ」と話している。