1~7月のエビの輸出額、順調に拡大 日本市場などがけん引

ベトナム水産物輸出加工協会(VASEP)はこのほど、ベトナムの1~7月のエビ輸出は19億ドルに達し、昨年同時期と比べ18.5%増加したと発表した。米国への輸出は減ったものの、日本をはじめ、他の市場への輸出額が順調に伸びたことが貢献した。

ベトナムからの輸出先として、最大規模となったのが日本の市場で、輸出額は約3億8380万ドルにのぼった。昨年同期比35.2%増だった。

水産物などの加工技術関連の投資が増加したことで、日本の厳しい関税基準や食品安全、衛生などの基準をクリアできるようになり、エビを含めた水産物の日本市場への供給は昨年来、増え続けている。世界でも最も選定基準の厳しい市場である日本への輸出が順調に増えていることは、ベトナム産のエビなどの評価上昇にもつながっており、他の国々の市場開拓にもつながると期待されている。

同時期の輸出先第2位は、約3億8060万ドルが輸出された欧州連合(EU)で、前年同期比20.5%の増加となった。第3位が中国で、3億3440万ドル(同39.8%増)だった。中国へのエビ輸出額は、7月の1カ月だけで、前年同月比106.3%増と倍増した。

一方で、米国への輸出は前年同期比5.5%減となり、約3億4470万ドルにとどまった。VASEPは、米国商務省が反ダンピング税を引き上げたことによる影響とみている。トランプ米大統領の国内産業保護政策によって引き起こされた米ドルの為替下落も、追い打ちをかけた。

米国へのエビ輸出が下降しているもう一つの理由に、ベトナムの最大のライバル国であるインドのエビ輸出が回復したことも挙げられるという。インドではいっとき、エビの感染症が拡大して商品の供給が停止する事態となっていたのが、最近になって生産が回復しているという。

このような逆風はあるものの、VASEPでは今年の下半期には米国のエビ需要も回復し、輸出も増えると見込んでいる。

ベトナム商工省は、米国市場が依然として大きな可能性を秘めた輸出先であると提言し、今後、米国へのエビ輸出を拡大するために、養殖業者や輸出関連企業などに、品質や食品の安全性の面での競争力を強化するよう求めた。

農業・農村開発省によると、ベトナムの今年1~8月の水産物輸出総額は約53億ドルだったといい、ナマズとエビは依然として輸出水産物の2本の柱であるという。VASEPは、今年の海産物輸出額を、当初予測の74億ドルを上回り、年間で約80億ドルに達すると予測を上方修正した。