急成長する航空需要 世界トップ級の伸びに

世界各国の航空会社で構成する業界団体、国際航空運送協会(IATA)によると、2015年から2030年の年間平均旅客数において、ベトナムは世界で最も急成長する国のトップ5入りすると予想されている。目覚ましい発展を見せる航空産業と、急ピッチで進むインフラの整備について、ベトナム・エコノミック・ニュースのトゥー・フォーン記者が、ベトナム民間航空局(Civil Aviation Authority of Vietnam 、略称CAAV)のボ・フィ・クオン副局長にインタビューした。

─近年の航空需要について
航空需要の伸びはこのところ著しい。2015年から2016年の旅客数は29%増、今年上半期も19%増となっている。国内の空港利用者数は17.5%増で、航空会社の輸送量も15.1%増加した。こうした急成長は、ハノイやダナン、ホーチミンといった主要都市と国内18の地方空港を結ぶ52路線の就航や、2016年以降の国際線の就航ラッシュが原動力となっている。国際線では、今や28カ国・地域の52の航空会社が、ベトナムとの間に78の路線を就航させている。

―インフラやサービスは追いついているか
急速な需要の拡大は、多くのチャレンジや困難をベトナムの航空関係者につきつけている。まずは、インフラの充実やサービスの質の向上を迫られている。いくつかの空港では、ターミナルや駐車場を充実させるなど施設の拡張を進めている。同時に、安全面やグランドサービス、人材の育成などの管理、運営面も力を入れなくてはならない。航空会社は、輸送量の増加に力を入れており、2017年6月、民間の商用航空機数は、前年末から17機が増えて164機となった。今年末までに、さらに20機が増える見込みだ。また、タンソンニャット、ノイバイ、チューライをはじめ21の空港の拡張などのインフラ整備にどれくらいの投資が必要なのか検討中だ。

サービスの質も向上している。2017年上半期、国内航空会社では、前年比7.2%増となる13万7600便を運用したが、うち遅延は12.2%、キャンセルは0.5%で、それぞれ前年比で3.6%、0.1%の減少となった。また2017年第1四半期、CAAVで3000人の利用客を対象に調査を行ったところ、おおよその人が空港サービスの質を評価しているとことが速報結果からわかった。年末までに、6つの空港で満足度評価の調査結果をまとめる予定で、結果まとまればサービス向上の一つの指標となるだろう。

―拡大する市場に向けて、航空業界は何をすべきか
交通省はロンタン国際空港の開発プロジェクトと、タンソンニャット国際空港の拡充に引き続き注力する。さらに、ハイフォンのカットビ国際空港の第2ターミナル、カインホア省のカムラン国際空港の新国際旅客ターミナルの工事を早期に完了させる。2016年から2020年にかけて、ベトナム空港総公社(Airports Corporation of Vietnam)では、空港の設備や機器の充実、ターミナルの拡張に31兆ドン(約1580億円)を投資する計画だ。

われわれは、能力面や技術面において、航空産業が遅れをとらないようにするという国家方針に沿えるように努力を続ける。一方、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域間の旅行の自由化を見据えたASEAN単一航空市場に向けた準備も整えなくてはならない。実現すれば、ASEANの国々や航空会社は、世界的なマーケットで利益を得ることができるようになる。そして国境を越えた旅行や貿易、投資の利便性が高まり、サービスの流れもよくなるだろう。