ベトナム中部クアンナム省のチューライ開放経済区で、2017年の1年間に23件のプロジェクトに対して総額14億ドルの投資が実施されたと、同経済区が発表した。このうち、3件は海外直接投資(FDI)案件で、投資額は1600万ドルにのぼった。

チューライ開放経済区は2003年に、ベトナム初の経済開放区として開設された。昨年1年間の同経済区への投資は前年の約13.5倍で、同開放区のド・スアン・ディエン局長によると、「開設以来最大の成長を見せた」という。

写真㊤=チューライ開放経済区から輸出用コンテナを積みだす大型クレーン(チューライ・チュオンハイ港)

ディエン局長は、昨年の大幅な伸びについて、数々のビジネス促進フォーラムがクアンナム省やホーチミン市をはじめ、海外のマカオなどでも開催されたことが主な要因だと指摘。また、昨年はベトナム・ダナンでアジア太平洋経済協力会議(APEC)の各種会議も開催され、期間中に視察や商談などが数多く展開され、これも投資の急増に結び付いたと分析した。

2003年以来に同地区への企業進出は138件あり、このうち34件が海外からの進出だった。総投資金額は計36億8000万ドルで、このうち海外からの投資は約10億ドルだった。

現在、開放区内で稼働しているのは88のプロジェクトや企業で、総投資金額は13億ドルに達する。このうち海外からの投資は、24件で投資額は2億2700万ドン。

昨年6月に開かれた投資促進会議などで、クアンナム省当局は32の企業プロジェクトに対して投資ライセンスを供与し、登録総資本は158億ドルとなった。最大規模の投資は、米石油メーカー、エクソンモービルと、ベトナム国有石油・ガス企業のペトロベトナムとの間で締結された発電施設建設案件。発電施設は、クアンナム沖のブルーホエールガス油田で発掘された天然ガスを活用するといい、投資総額は100億ドル規模とみられる。

企業などの進出増加に伴い、一帯の観光面での投資も増えた。ベトナムの観光開発最大手、ビンパールは、ホイアン南部に2億1300ドルを投資した観光複合施設の建設を始めた。また、「アンティン複合リゾート」(投資額は約1億9100万ドル)、ビーチリゾートの「オパール・オーシャンビュー」(同2億2000ドル)、「ビンズオンリゾート複合施設」(同2億600万ドル)などの投資が相次いだ。

チューライ開放経済区はもともと自動車産業の発展を目して開発された工業地区で、ベトナムの自動車メーカー、チュオンハイ自動車(Thaco)が製造拠点を置くことでも有名だ。昨年は、日本のマツダ自動車がここに3億8000万ドル規模の投資を行い、チュオンハイとともに新たなマツダ車の製造プラント建設に入った。

周辺のインフラ整備も進んだ。3万2400ヘクタールの敷地内にあるタムヒエップ港やキィ・ハー港などは整備工事が行われて大型貨物船などが入港できるように。載貨重量トン数はタムヒエップ港が1万DWT、キィ・ハー港が2万DWTとなった。チューライから韓国のインチョン港や中国河南省などへ直接、繊維製品や自動車などの商品の輸出入ができるようになったという。

一方、空の窓口となるチューライ空港を国際空港に格上げする計画もある。クアンナム省のグエン・ホン・クアン共産党事務局長によると、ローコストキャリア(格安航空会社)のベトジェット・エアと米国のパーソンズ・ブリンケルグループが共同でチューライ空港を拡大整備する計画で、2020~25年ごろには国際空港として、年間230万人の乗客利用と約150トンの貨物輸送達成を目指している。