2017年の日本のFDI額、記録を更新 ベトナムへの投資も4年ぶりトップに

日本の財務省と日銀の統計などによると、日本の海外直接投資(FDI)が増加の傾向にあり、昨年9月の段階で過去最高を更新したという。対ベトナムへの投資も、国別で4年ぶりにトップに帰り咲いた。

写真㊤=東京港で荷降ろしされるコンテナ

日本の海外直接投資は2017年9月末までで、総額約17兆4157億円(約1500億ドル)にのぼった。投資先は、小売り企業と電気通信事業をはじめ、金融事業の買収に集中しており、2017年に日本企業が買収した海外企業は667社にのぼった。

2017年にもっとも多額の海外投資を行った企業は、小売り大手のセブン&アイ・ホールディングス。約3660億円(約32億ドル)を投じ、アメリカで1100軒のコンビニエンスストアを運営するスノコLP(テキサス州)を買収した。

ベトナム計画投資省傘下の海外投資庁によると、2017年の年初から11月20日までの国・地域別FDIで、日本は韓国を抜きトップとなった。日本が1位になるのは4年ぶり。登録資本金は、総額約890万ドルに達し、329件の新規案件が承認された。

ベトナム南中部カインホア省のバンフォン火力発電所への投資など大型のインフラ整備事業があったことが寄与した。それ以外にも、日本の中小企業からの投資が多くみられたほか、昨年はベトナムの株や証券などへの投資も増加するといった特徴がみられた。

このような日本からの投資の増加を受けて、ベトナムのチャン・トゥアン・アイン商工相は昨年12月、訪越した日本の経団連訪越団と会談し、日越間の貿易環境の整備や支援を約束。日本側にベトナムへのさらなる投資を促した。


経団連メンバーと懇談するアイン商工相(右から2人目)

懇談では、訪越団を率いた経団連日本ベトナム経済委員会の中村邦晴委員長が、日越両国間の協力関係の重要性を強調し、「経団連はインフラ整備やエネルギー、製造業などさまざまな分野において、ベトナム企業との提携を検討している」と話した。

アイン商工相は、「民間企業とFDI事業をベトナムの重要な推進力とみなす建設的な政策構築を確約する。ベトナム政府は、海外の企業がベトナム国内で事業を維持、拡大していけるように、より開放的で好意的な環境を作り出し、支援を継続する」などと説明。

具体的には、ベトナム政府と経団連による政策対話の実施▽自動車産業関連や裾野産業、エネルギー分野などで機能し始めている共同ワーキンググループなどの既存の協力体制の維持▽日越共同イニシアチブ第6フェーズの課題解決にむけた日越での対話―などの実施を挙げた。

会談に参加した梅田邦夫在ベトナム日本大使も、日本側が日本企業による新たなベトナム向け投資を促すことを約束した。

経団連は昨年9月、ベトナム向けの支援策の実施を約束しているが、これを加速させるための協力も、日本の経済産業省と経団連に要請した。特に第4次産業革命を背景とした人材育成支援プロジェクトの重要性を強調し、「ベトナムの開発要件に沿った技術やマネジメント手法などの移転と、通常の人材育成とを組み合わせて実施していくべきだ」と指摘した。