ベトナム商工省はこのほど、国を挙げて展開してきた「ベトナム製品購入キャンペーン」が、8年間の実施を経て手ごたえが感じられる成果を上げていると評価した。国産品の地位が向上しただけでなく、品質向上や国際的な知名度アップにも大きく寄与したという。

◇競争力アップへ
商工省国内市場局のレ・ベト・ニャー副局長は、同キャンペーンについて、「商工省や部局、地域、企業団体などの積極的な支援を得て実施されてきた」と経過を説明する。具体的には、ベトナム商品についての情報発信をはじめ、消費者にベトナム製品を購入する意欲をもたせるためのさまざまな政策の改訂や補足、生産者や販売企業などの支援、販売流通網の強化や市場調査活動の改善などの対策がとられてきた。

この結果、キャンペーンを通じて消費者と企業の両者に前向きな反応がもたらされ、ベトナムで生産されたさまざまな製品が、国内消費者らの支持と信頼を得るようになった。一方、企業は国内市場向けの製品製造を優先するようになった。間接的には、インフレーションが抑制され、マクロ経済的な安定維持にもつながった。

製造や販売に携わるさまざまな企業が、ベトナムの商品やサービスの質や競争力を改善するという企業責任を強く意識するようになったという、目に見えない効果も。目的達成のために、企業は消費者の利益を守る一方で、国内外で高い知名度を誇るような商品ブランドの構築を目指すようになった。

その効果、ベトナム製品は消費者の信頼を勝ち得て、海外からの輸入品とも市場で互角に競争できるようになった。乳製品や乳加工品のビナミルクやTHトゥルーミルクのほか、チュングエン・コーヒー、衣類製造販売のガーメント10、くつ製造のビティ製靴、鍵類製造のベト・ティエップ・ロック社などが、国内市場で外資系商品に勝る販売や認知を達成し、国際的にもブランド知名度を上げた成功例といえる。

ホンハー文房具もそのような企業のひとつだ。同社のホアン・マイン・アイン副社長は、「キャンペーンを契機に、私たちは消費者の信頼を得ようと技術を革新し、製品の多様化や革新に力を注いできた。特に、都市部以外の農村地域での自社製品購入に焦点を当て、手が出しやすいよう価格を引き下げたり、流通網を拡大して各地に商品を広く販売できるよう心掛けてきた」と話す。

◇企業支援、より強固に
最近の調査では、ホーチミン市の消費者の90%、ハノイの消費者の83%が買い物の際に「ベトナム産の商品を購入する」と答えた。 メイド・イン・ベトナム製品は現在、スーパーマーケットの陳列棚の80~85%を占め、古くからの市場でも商品の60%以上を占めるようになったといい、市民らの意識面ではベトナム製品の評価は上々のようだ。

だが、ベトナムは現在、さまざまな分野において、国際社会への統合の入り口に立たされている。国際的な経済統合はベトナムの経済改革や成長、発展を加速させる推進力となる反面、国内産業を重い重圧に直面させる懸念もある。

ニャー国内市場局副局長によると、商業や貿易セクターでこの課題の解決となるのが、「高付加価値製品の生産と、国内市場の開拓を同時に実現すること」だと話し、ここでもベトナム製品購入促進の動きが奏功するとみる。商工省では、関係各部局と連携し、キャンペーンを拡大し、補強するためのさまざまなアクションプランを実行に移していく考えだ。

また、国家当局も、さまざまな保護貿易措置を活用して国内市場におけるベトナム製品の保護を目指している。農村部や工業地域などでベトナム商品の販売を増やすとともに、現代の流通経路におけるベトナム商品の存在感を高めるための輸出促進活動も強化していくという。