ベトナムに投資している日系企業のうち、約65%が黒字を達成しており、約70%がベトナムでの事業拡大を計画していることがわかった。日本貿易振興機構(JETRO)がこのほど行った「2017年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」を公表した。

◇黒字の日系企業は65%
ジェトロが今年2月に行ったこの調査では、ベトナムへの投資について「まだリスクはあるものの、世界の他の国や地域と比べて、日系企業をはじめとする外国投資家にとって非常に優良な投資先だと判断できる」と結論づけた。

これについて、ベトナム計画投資省外国投資局のド・ニャット・ホアン局長は、「ベトナムは政治が安定しているとともに、人口が多くて消費市場の規模も大きい。投資促進政策などの利点からも、世界の外国人投資家を誘致している国の一つになっているのではないか」と話した。

JETROは、このようなメリットの反面、ベトナム投資のリスクについても日系企業に尋ねている。その結果、「人権費の高騰」は、ベトナムに進出している日系企業の61.6%が実感していた。また、「法律が不明瞭」(同46.9%)、「インフラ整備の遅れ」(同38.2%)、「行政手続きの不備」(同39.5%)、「煩雑な税金手続き」(同42%)なども挙げられた。

ジェトロの北川浩伸ハノイ事務所長は「日系企業の70%が、今後もベトナムへの投資継続に意欲的だった」と報告。この率は昨年度の66%より高まっており、他の国と比べても高いという。ベトナムでの事業拡大の理由としては、「利益が増えると判断した」という企業が多く、88%の日系企業は2018年の利益増大を見込んでいた。また、46%の企業は「市場の潜在的な成長力が感じられる」と回答。「ベトナムでの投資は利益を得られる」と判断した企業も65.1%にのぼり、前年の調査より2.3ポイント上昇した。

◇経営環境改善の余地あり


今後も発展が期待されるベトナムの日系企業

ジェトロによると、現在ベトナムに進出している日系企業は1700社に達する。計画投資省外国投資局の2018年1月現在のデータでは、日系企業は3629件の投資案件をかかえており、登録総資本金は計49兆4550億ドルにのぼる。韓国に次いで125カ国・地域で第2位の投資国で、主な投資先は、製造加工業、サービス業、ハイテク農業などの分野だった。

ベトナムがまだ十分に海外の投資家や企業を誘致できていない理由の一つは、裾野産業がまだ未発達だということが挙げられる。ベトナムでの部品の現地調達率が33.2%であるのに対して、タイでは56.8%を達成している。また、インドネシアは45.2 %、フィリピンは42.2%、マレーシアも38.2%だ。

このため今後、裾野産業を発展させ投資政策やさまざまな手続きが改善されれば、ベトナムへの直接外国投資(FDI)はいっそう増えると期待される。