ベトナム南部のドンナイ省は、ビエンホア第一工業団地を商業施設に転用するとの計画を発表した=完成予想図。団地内の古く、廃水処理設備が不十分である工場からの排水で河川の汚染が深刻化しているため。2025年の実現を目指す。

このほど、ドンナイ省が工業団地の総合開発などを手掛ける企業、ソナデジ(SONADEZI)が提案した同工業団地の商用転換計画を承認した。

現在、ビエンホア第一工業団地には80の企業や工場が入居しており、このうち40社の借地契約は2051年まで期限があるという。このため、同省は借地契約が期限を迎えた工場から、順次、土地の返還を受け、賃借契約が残る企業には補償金を支払って、他の場所への早期移転を支援するという。

ソナデジによると、プロジェクトの総事業費は約15兆ドン(6億5800万ドル)。このうち2兆4000億ドンは建設や設備費、7兆5000億ドンが補償と整地の費用。また、企業や従業員への支援費として1兆3000億円を見込んでいる。

同工業団地の閉鎖が決定された大きな要因は、工場廃水などによる地域環境の汚染だった。同工業団地のドンナイ川への排水量は、1日あたり約9000立方メートル。ビエンホア市や近隣する南部各省の広い範囲に暮らす数100万人が、廃水で汚染されたドンナイ川の水の影響を受けてきたとされる。

ドンナイ省人民委員会のグエン・フー・クオン書記長は、「環境汚染の問題を解決するために、ビエンホア第一工業団地の2022年までの閉鎖を決定した」と説明。「プロジェクトは環境汚染の問題を解決するだけでなく、商業施設への転用によって地域を発展させ、大きな利益をもたらすだろう」と期待を示した。

ビエンホア第一工業団地では省では約10年前から、入居企業の廃水処理技術が不十分であるとの指摘がされ、閉鎖が検討されてきた。しかし、省が閉鎖の時期をたびたび変更し、実現が遅れていた。