日系の双日、ベトナムの製紙最大手サイゴンペーパーを買収

日系企業の双日は6月末、ベトナム製紙最大手のサイゴンペーパー社を買収した。東南アジアでの段ボールやティッシュペーパーの需要急増に対応するためで、同社は今後、ベトナムでの製紙市場に本格参入する。

日経Asian Reviewによると双日は、ベトナムの実業家、マイ・フー・ティン氏が所有していたベトナム製紙のトップ企業、サイゴンペーパー社の株式の約90%を買収したという。ベトナムでの活動拡大によって、双日は、2022年のベトナム国内での売上高を40%増の1億6500万ドルに引き上げることを目標としている。

サイゴンペーパーは、1997年に設立し、投資金の拡大を目指していた。同社はティッシュペーパーのブランド「Bless You」などのほかトイレットペーパーや段ボールなどを製造。毎年の売上高は、約1億ドルで、家庭用消費紙約4万トンと産業用紙23万トンの生産能力がある。

双日は今後、サイゴンペーパーの財務会計システムの改善や工場設備などの向上のために、日本から6人の管理職を派遣する。また、両社が協力し、双日がサポートする工業団地や運営するコンビニエンスストアのミニストップなどから、リサイクル用紙を回収する。

ベトナムではこの10年間で、段ボール需要が10倍に急増。増加の主な理由は、オンラインショッピングなどの小売り形態の変化や、縫製製品、電子部品などの受注生産が中国からベトナムにシフトしているためだ。また、ベトナムの国内総生産(GDP)も毎年6%近い伸びで、経済成長による生活レベル向上からトイレットペーパーなどの需要も約5倍に増えているという。