コーヒー輸出額、35億㌦に〝インスタント〟が即効

2018年のコーヒーの輸出額が約35億㌦(約3810億円)に達する見込みとなった。ベトナムコーヒー・ココア協会 (VICOFA)のルオン・バン・ツー会長が明らかにした。コーヒー豆の価格下落に伴う輸出額の伸び悩みを、インスタントなどの加工品の好調な伸びが補っているという。今や基幹産業の一つとなったコーヒー業界の現状について、VENのフオン・ラン記者がについて、同会長に聞いた。

写真㊤=農林水産品の輸出額のうち約10%を占めるコーヒー。加工品が好調な伸びを示している

─輸出量の伸びに対して、輸出額が伸び悩んでいるのはなぜか
アラビカ種の豆の価格が過去12年で、ロブスタ種の豆が過去5年で最低の水準になっている。その結果、18年1~10月の輸出量が20%増になったにもかかわらず、輸出額は昨年同時期と同水準にとどまってしまった。

ただ、コーヒー加工品の輸出促進政策のもと、粉末コーヒーとインスタントコーヒーの輸出が好調だ。加工品の付加価値は高く、1㌧あたりの価格は豆の2~3倍になる。最大の輸出先の一つが中国だ。豆の価格下落という厳しい状況の中、こうした加工品の輸出増と製品の多様化が、輸出安定化に貢献している。


VICOFAのルオン・バン・ツー会長

─輸出大国であるはずのベトナムだが、(ローストする前の)生のコーヒー豆と加工品を輸入している。その理由は
ベトナム産のコーヒーのほとんどがロブスタ種だが、苦味があり、香りがややひかえめだ。このため、業者は、アラビカ種の生のコーヒー豆と加工品を輸入して30%ほどブレンドしているからだ。豆や加工品を輸入しているものの、ベトナム自体の粉末コーヒーとコーヒー加工品の輸出も増加している。

インスタントコーヒーの市場では、ヴィナカフェ、チュングエン、ネッスルという大手の一角に、ティンギエが今年末までに新規参入することになった。同社は、ドンナイ省に年間生産量が1万㌧規模の生産ラインを稼働する予定で、業界はさらに活気づきそうだ。

─今年の輸出額について
ベトナムのコーヒー産業は急速に発展しており、今や農林水産品の輸出額の約10%を占めるにようになっている。大手のヴィナカフェやチュングエン、その他の企業は、ベトナムが結んできた貿易協定によって利益を得てきた。業界では、効率的な電子商取引(EC)を導入するなど、経済の新たなトレンドにも対応してきた。業界は現在、豆の価格に関連する難問に直面しているものの、2018年のコーヒー輸出額は約35億㌦に達すると見込まれている。