ベトナムの農産物の8割以上が、海外では海外ブランドとして販売されている状況から、自国製品のブランド化は、ベトナム企業の競争力強化と事業拡大に一層重要になってきている。

写真㊤=ベトナムの農産物のブランド化には、輸出先の品質基準を満たすことが重要だ

■商標登録、国産品はわずか15%
ベトナム農業農村開発戦略政策院(IPSARD)によると、ベトナムは、コショウ、カシューナッツ、エビ、魚のバサ、コーヒー、木製家具と米では世界有数の輸出国だが、輸出額としては依然低い。例えば、コショウの輸出ではベトナムは世界1位であるが、輸出額では8位。カシューナッツも輸出量は1位だが、輸出額は6位にとどまっている。同様に、米も輸出量は2位で、輸出額は10位。コーヒーも輸出量は3位で、輸出額は10位と、いずれも輸出額が大きく伸び悩んでいる。

これには、ベトナムが主に農産物の原材料もしくは少し加工を施しただけの半製品を輸出し、商標とはほとんど無縁であることが理由にある。

科学技術省のデータによると、ベトナムで登録された9万の商標のうち、国産品はわずか15%であり、ベトナムの農産物の80%以上が、海外ブランドの下、海外市場で販売されている。

■ブランド化の前に、まず製品改良を
科学技術省のファム・コン・タック副大臣は、「農産品の価値を高め、海外市場で地位を確立するには、ブランディングと地理的表示が一段と重要になっている」と指摘する。タック副大臣は、「科学技術省の国家知的財産権庁(NOIP)は、商工省傘下の貿易振興庁(VIETRADE)と共同で、多くの海外市場で、主要なベトナム農産品の知的所有権登録を実施している。ただ、こうした取り組みは、とりわけ北米や西ヨーロッパ、日本といった要求の高い市場ではとても難しい」と課題に触れた。

ブランド化に向けては、省や市が、特産品の開発を計画する一方で、政府は、製品のブランド化と知的所有権の登録を進めるプログラムを実施。農業・地方開発省は、マンゴーやドラゴンフルーツ、茶、コーヒー、バサのブランディングに焦点を当てており、また最近、同省と科学技術省、商工省は共同で、地理的表示の管理に関する規制を行うことでも同意した。

こうした動きの中、エコノミストらは、「企業はブランディングの前に、まず製品の改良に努める必要がある」とも指摘する。彼らは、輸出先が求める品質や食品の安全性、衛生上の要求を厳守して、海外市場での貿易を促進していくよう助言した。

ただ、農業農村開発戦略政策院は、ブランディングは持続可能な輸出を促進し、海外でのベトナム農産物の価値向上に極めて重要だとの見解を示している。