ビール大手ハベコ4年連続の減益 ベトナム人の嗜好変化適応に苦戦

ベトナムのビール大手、ハノイビール・アルコール飲料総公社(Habeco=ハベコ)の昨年の営業利益は、前年度比23%減の6670億ドン(約2871万ドル)にとどまった。4年連続の減益で、1兆4400億ドン(6212万ドル)だった2014年の営業利益の半分以下にまで落ち込んだ。

同社の売上高も5%減少し、9兆4000億ドル(約4億467万ドル)だった。営業経費の増加と原価の急騰が響いた。

国際的な調査会社、ユーロモニター社によると、ベトナムは今やアジア最大のビール消費国のひとつにまで成長。世界的なビール消費量が横ばいにとどまっているにもかかわらず、ベトナムでのビール消費量は急増。ベトナム・ビール・アルコール飲料協会(VBA)によると、2017年のベトナム人1人あたりの年間ビール消費量は、2015年の約50%増の45リットルに達した。

ハベコは現在でも、ベトナム北部で最大手のビール会社だと多くの証券会社は言う。それが、ビール市場拡大のトレンドに乗れずに売上高を減らした理由は、消費者の嗜好変化への適応がうまくいっていないことや、海外のビール会社との競争激化などの課題だという。

バンベト証券の最新のデータによると、2010年には20%近かったハベコのビール市場ではの市場占有率(シェア)は、6年連続で縮小し、2017年の末ごろには18%にまで下がった。低価格帯ではシェアを維持したものの、他のセグメントでは、タイベブ傘下に入ったサイゴンビールや、ハイネケンなどの海外ブランドに、シェアを奪われた。

特に、ハベコの強みであった低価格ビールの市場そのものが縮小している影響が大きいと証券関係者らは見る。ベトナムのビール市場で、低価格帯商品は7年前には全体の14%を占めていたが、現在では8%に縮小しているのだ。

ベトナムは東南アジアでは最大のビール市場であり、2017年の年間ビール総消費量は40億リットル。市場は34億ドル規模で、1人当たりのアルコール購入費は年間約300ドルに相当する。ベトナム人の健康関連の支出が年間1人当たり113ドルに過ぎないことと比較し、保健省はベトナム人のアルコールの過剰摂取に警鐘を鳴らす。しかし、商談も杯を重ねれば順調に進む、などといった考え方がいまだに一般的だ。