ベトナム初の国産自動車製造に挑む複合企業、ビングループ傘下のビンファストのハイフォン工場で3月6日、初めてとなるLUX SA2.0試用車が製造された。自動車生産事業に参入開始から18カ月でテスト走行にこぎつけた格好で、本格的な量産に向け大きな前進となった。

完成したLUX SA2.0は、スポーツ用多目的自動車(SUV)。設計通りの美しい外見と、力強い走行性能を示した。完成したLux SA2.0の第1号車は、従業員らの拍手で工場から送り出された=写真㊤。

同車のエンジンは、排気量2000ccの4気筒ターボエンジンで、出力は228 馬力。オートマチックトランスミッションZF型や、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)、電子制御制動力配分システム(EBD)やブレーキ・アシスト(BA)などの最先端のブレーキセンサーや安全装置などを備えている。

ビンファストでは今後、工場で完成車の確認を行い、テスト走行を実施したあと、量産体制に入るという。


ビンファストの工場内を走るLux SA2.0

同車は、ボディのプレス作業から、溶接、塗装、モーター作成組み立てなどの6工程を経て完成され、ビンファストは、その全工程を自社で完結できるベトナム初の国産自動車製造メーカーとなった。近代的なエンジン製造部門を有することで自動車の国内生産を可能にしたほか、部品の現地調達率の向上など、ベトナムの裾野産業の引き上げにも貢献するとみられる。

ボディの塗装工程では、ドイツの塗装システム開発会社、ドゥル(Durr)グループの、インダストリー4.0にのっとった近代的設備を導入。79種のロボットを活用し、表面処理から接着剤などのスプレー作業、コーティングまでの、精密塗装が自動で行なわれる。

本体のプレス作業と溶接の作業も、近代的な工場で、1200のロボットを活用し、自動で行なわれる。ビンファストは、ボディの大型プレートや20枚以上にのぼる車体の基本部分をプレスで製造し、溶接するための国際基準を満たしている。

これらの全工程は、ドイツのシーメンス社のMESスマート製造管理システムや自動ベルトコンベアなどを使って自動制御で製造される。

製造試験期間中に生産された車は、オーストリアやオーストラリア、韓国、その他の国々で品質試験を行い、最も厳しいヨーロッパ基準に合格させる。また、ベトナム国内でも品質試験を行ない、外国での試験結果と比較を行なったり、さまざまな運行条件などに適合することなどを確認する。

同社は当面、2タイプの製品を製造する計画で、小型車のビンファストFadilは今年第2四半期に、また、ビンファストLUXは今年第3四半期に、それぞれ顧客に引き渡される予定だという。