日本貿易振興機構(ジェトロ)がこのほど行なった調査で、ベトナムに進出している日本企業の65.3%が、ベトナムでの事業で収益を上げており、70%がベトナムでの生産や事業を拡大する計画があることがわかった。ベトナムが、日本企業にとって重要な投資先であることを裏付けた。

◇投資環境が改善

この調査結果は、ジェトロが行なった2018年の「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」で判明した。ベトナムで調査結果を報告した会見で、ジェトロ・ハノイ事務所の北川浩伸所長は、「ベトナムに投資し、調査に参加した787社の日本企業は、ベトナムの投資環境の改善を実感している。同じく調査の対象となったアジア諸国の中でも、利益拡大への期待がより高い」と説明した。

具体的には、ベトナム投資で収益があがっていると答えた日本企業の割合(全体の65.3%)は、前年より0.2ポイント上昇。2010年以前に設立された企業の収益率は約80%で安定していた。これは、ベトナムに投資している他の国々の企業の52%が赤字を報告しているのと比べて、非常によい数字だ。

今後の拡大についても、ベトナムに進出した日系企業の70%は事業を拡大する計画があると答えた。他のアジア諸国で、中国が48.7%、フィリピンが 52.4%、インドネシアが 49.2%だったのに大きく差をつけた。2010年以前に設立された日系企業でも、 67.1%が事業拡大を検討しているという。

北川所長は「日系企業のベトナムでの売上高は年々増えており、市場の潜在的成長の可能性も高いからではないか」と分析した。

◇高まる現地調達率

JETROによると、もう一つのよい兆候は、ベトナムの製造現場などで部品の現地調達率が、36.3%と伸びていることだ。中国やタイ、インドネシアなどと比べるとまだ低いものの、2018年には初めてマレーシアを上回った。

 

計画投資省のブ・ダイ・タン副大臣によると、ベトナムでの現地調達率の高まりは、ベトナム政府が裾野産業支援を促進した結果で、「今後、まだ発展していくだろう」と話す。

一方で、課題となっているのが、ベトナムの法制度だ。48.2%の日系企業がベトナムの法律システムについて「制度が未完成で不明確」と答え、前年より1.3ポイント上昇した。調査では、ずいぶん改善されてはいるものの、企業の50%が依然として「従業員の昇給」や「原料・部品の購入」、「品質管理の難しさ」などの困難があることを指摘した。「ベトナムの体制や税金手続きなどがあいまい」「個人所得税と転送税などが複雑で変更が多い」「自動車工業の発展のための背策が具体的ではない」などの問題点も挙げられた。

ベトナム政府は今年、投資法や事業法の改正を国会に提出する予定。「国内外の企業が安心して投資できる法的回廊を完成させ、今後の課題を解決する」とタン副大臣は強調した。