ビンファストの自動車155台 車両試験のため海外へ輸送

ベトナム初の国産自動車製造に乗り出した不動産大手ビングループ傘下の自動車メーカー、ビンファスト(VinFast)はこのほど、ハイフォン市の工場で製産されたテスト車両を、性能試験実施のために、14カ国に向けて輸送を始めた。各地でさまざまな検査を行なった後、今年夏以降の販売開始を目指す。

写真㊤=タンブー・ラックフェン橋(ハイフォン市)を渡って輸送されるビンファスト車。今後、海外での品質試験が行なわれる。

ビンファストによると、テスト期間は今年8月まで。大部分の試験は、マグナ・シュタイヤーのグラーツ検査場(オーストリア)とボッシュ社のオーストラリア工場で行なわれる。本格的販売を前に、すべての製品がヨーロッパをはじめとした世界基準を満たしていることを確認する。

品質テストの対象となるのは計155台。ディンブー・カットハイ経済区(ハイフォン市)にある同社工場で作られた最初の生産ロットのうち、113台を完成車にまで仕上げ、42台は組み立て途中の状態で、試験を行なう。これらの試験車の移送は複数回に分けて行う。ベトナム国内のほか、ヨーロッパやアジア、オーストラリア、アフリカへ送られ、多様な気候環境や道路事情などに適応できることを確認する。

世界でも有数の自動車メーカーの検査システムを利用し、チェックされるのは100種類以上の項目に及ぶ予定。自動車の安全基準を引き上げ、特に厳しいとされる欧州基準に適合させるねらいで、アセアン諸国の新車を対象とした安全性能評価「ASEAN NCAP」の最高評価である5つ星の認定を目指す。

これに先立ち、ビンファストはエンジンやシャーシ、躯体などの重要な車両パーツも、試験実施のために海外の検査施設に輸送済みだ。さらにそれぞれのパーツを構成する数千個にも及ぶ部品も、マグナ・シュタイヤーのもとで、品質管理テストなどが実施された。

セダンとスポーツ用多目的車(SUV)の2タイプがあるビンファスト車の「LUX」ブランド主席エンジニア、ケビン・フィッシャー氏は、「弊社にとっては品質が最重要。ベトナムの消費者ニーズに応えるため、テスト工程は厳密に徹底して行う」と話す。

すべての試験が終了すれば、いよいよ、主要ブランドの「LUX」の2車種と、小型車「ファディル(Fadil)」の商用生産が始動する。計画では、ファディルは今年の第2四半期に、LUXは第3四半期にも、顧客への納入が始まる見通しという。