コーヒーの高品質化計画 政府がプロジェクト

ブラジル次ぐ世界第2位のコーヒー大国に成長したベトナム。しかし、輸出額こそ増えたものの、品質や加価値化の点では課題も多い。こうしたなか、コーヒーの競争力強化に向けた政府のプロジェクトが進められている。

写真㊤=近代化が課題となっているベトナムのコーヒー産業。国際競争力の強化に向けて政府のプロジェクトが進められている

ベトナムは毎年150万㌧以上のコーヒーを米国や欧州、中国などの80の国地域に輸出。貿易収入は300万㌦(約3兆3300億円)以上に上り、世界の生コーヒー豆の10.4%の輸出額を占めている。しかし、輸出するコーヒーの90%は、収益率の低い生のコーヒー豆で、2013年から17年にかけては、コーヒー価格の乱高下などもあって、 成長率は6.57%にとどまった。

ベトナムのコーヒー産業の課題について、農業農村開発省(MARD) の農業生産加工市場発展局のグエンクオック・トーン局長は、こう指摘する。「ほとんどのコーヒー輸出業者は、海外の焙煎業者や 挽豆業者との関係が構築できていない。地方の加工会社にいたっては、外国語に弱く、海外向けの広告にも慣れていない。こうした貧弱な輸出インフラと広報、価格分析などが、この分野の成長を妨げている」。

ベトナムには、13社の外資系企業を含む150社のコーヒー輸出会社があるが、生のコーヒー豆の加工工場を持っているのはわずか3分の1。多くが貿易業者から生豆を買っている。

課題解決に向け、MARDは、高品質のコーヒー生産を奨励するプロジェクトを進めている。コーヒーの品質向上と収穫後損失(流通過程での農作物のロス)の減少を目指し、少なくとも10社を支援するとともに、5~10社を高品質コーヒー生産のモデル企業とする内容。プロジェクトのもと、少なくとも10農場で、コーヒー豆の生産と高品質化に向けた大規模な投資を行う計画だ。

これらの地区ではコーヒーの栽培、加工方法の近代化を図るため、収穫や輸送、乾燥、生産、保存のためのインフラに段階的に投資を行う。さらに、最新技術を導入し、それぞれ最低年間5000㌧の加工量を有する焙煎、挽豆プラントと500㌧規模のインスタントコーヒープラントの整備も急ぐ。

MARDのチャン・タン・ナム副大臣は「効率的な経営で業界をリードしていくためにも、十分な資本力や、技術力を有する大手企業を選抜しなくてはならない」と話す。同時に、従来の市場とともに、中国やEU、環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)を結ぶ国々、ASEAN経済共同体(AEC)も重視していく考えを示した。これらの取り組みを通じて、2030年までに工場で加工されるコーヒー豆の80%以上、コーヒー加工品の30~40%の統一的に商標化する計画だ。