急成長するオンラインフートショッピング、品質管理には課題も

インターネットで、より安全な有機食品を購入するオンラインフードショッピングが今、ベトナムで急成長をみせている。自宅で購入でき、原産地などの製品情報が分かることから、多くの消費者がこうしたサービスを利用するようになった。

■売り手、買い手、双方にメリット

「オンラインで食品を販売する業者は、フェイスブックやザロ(ベトナムのメッセージアプリ)、インスタグラムといったSNSを通じて、買い手と連絡を取っています。こうした取引チャネルであれば、消費者は店に行かなくても、多様な製品リストの中から欲しいものを見つけられます。購入後は、品質やサービスの感想を販売者にフィードバックすることもできます」と話すのは、フェイスブックを通じて安全な食品を販売するグエン・ホアイ・ナムさんだ。

写真㊤=オンラインフードショッピングは、特に大都市で急速に成長している

ナムさんは、「私たちのグループのウェブサイトには、4300人以上のフォロワーやシェアする人がいますが、実際にはもっと多くの消費者がオンラインショッピングを行っています」と話す。ネットでの販売は、中心地に店舗を借りる必要はなく、自宅や賃料の安い狭い路地などでビジネスを行えるため、店の賃料を最小限に抑えることができる。こうすることで、利益を15~30%も増やせるという。

オンラインショップを利用するハノイ在住のチュー・ジエウ・フオンさんは、「オンラインでの買い物は、時間の節約になります。また、原産地が分かり、(ベトナムの適正農業規範の)VietGAPや(国際標準の)GlobalGAPの認証を受けた製品を簡単に買うことができます」とそのメリットを語った。

■信頼のある販売者から購入を

「製品に対する原産地や品質の証明は、販売する側が行わなければなりません」とナムさんは言う。そして、「安全な食品や食材は、従来のものに比べて高価であり、売り手にとっては悩ましい問題です。売り手は、買い手に安心して買ってもらうためにも、品質や原産地証明、生産プロセスといった公式な製品情報を提示するべきです」と続ける。

オンラインによる食品販売は大きく伸びているものの、実際の品質管理はまだ手ぬるい状態だ。

ハノイ市市場管理局の調査では、検査を受けた、安全な食品を販売する小規模オンライン業者の多くが、原産地や品質証明を行っていない。こうした状況であるため、同局は消費者に対し、評価を受けた信頼性のある販売者から買うよう推奨している。

ハノイ市商工局によると、食品の中でもとりわけ、新鮮な野菜やシーフードのオンライン取引は、市場やスーパーマーケットで直接買うという伝統的な買い方がある中で、大きく成長している。そして、ほとんどのオンラインストアは、汚染されていない環境で育った有機食品を売ることで、伝統的な市場との差別化を図っている。