大胆な割引などの販促活動にもかかわらず、首都ハノイの家電量販店で売り上げが伸び悩んでいるという。ベトナム経済の急成長で市民所得が向上したことから、ハノイでは数年前に、冷蔵庫やエアコンなどの家電普及が一気に進んだ。現在の販売低迷は普及が一巡し、ピークを過ぎたことによる需要の小休止と見られるが、製品寿命が7~10年と長いため、専門家らは「今後2、3年は、需要回復は見込めない」と悲観的だ。

ハノイの家電量販店、「メディアマート・エレクトロニクス・スーパーマーケット」では、製品価格から20%、最大で50%もの割引を実施。購入製品の設置やメンテナンスサービスも無料にした。しかし、来店する顧客数は少なく、店は閑古鳥が鳴く。来店客よりも売り場の店員の数のほうが多いことさえあるという。

別の量販店、「ピコ・ストア」は、夏のセールとして、エアコン「12000-BTU TCL」タイプの価格を629万ドンから499万ドンに引き下げたほか、定価が610万ドンだった「BOSSエアクーラー」は400万ドンまで下げて売り出した。ほかにも、ビナウィンド製の扇風機が49%引き、冷蔵庫は提示された価格より300万~400万ドン安く販売するなど、各店で商品の値引き合戦となっている。

販売の低迷に悩むのは、「HC」や「グエンキム」などの大手量販店も同じで、さまざまな特売や割引プランなどを導入したが、販売は低調だ。

ハノイでは市内中心部のハイバーチュン通りやコウザイ通り、ホートゥンマウ通りなどに、中小規模の家電販売店が集中している。一帯のほとんどの店が、購入客の大幅な落ち込みに悩んでいる。ホートゥンマウ通りの家電製品販売店の店主は、値引き率が例年に比べて大きいうえに、販売件数が伸び悩む現状に頭を抱える。「本格的な暑さを前に、少しは売り上げが増えるといいのだが…」と店主は話す。

一方で、各店とも販売に意欲的で値引きを競う状況は、家電や冷蔵庫の購入を考える消費者にとっては、絶好の購入機会となりそうだ。