急成長の一方で、伸び悩む民間企業=国内取引重視、グローバルチェーンへの参画に遅れ

ベトナムは近年、急速な発展を続けているが、一方で民間企業は、特に海外取引の面で伸び悩みをみせている。

写真㊤=民間企業のグローバルのバリューチェーンへの参画は、いまだ限定的だ

ベトナム商工会議所(VCCI)が最近発表した、2018年の各省・市競争力指数(PCI:Provincial Competitiveness Index)ランキングによると、民間企業は依然、国内販売を重要視しており、66%の企業が国内の個人に、64%は国内の民間企業に、24%は国営企業に対して商品・サービスを提供している。

エコノミストによると、ベトナムには1億人規模の市場があるため、民間企業は国内取引を優先するのだという。海外企業と取引を行っている企業はまだ少なく、大部分の民間企業は、グローバルのサプライチェーンに参入する機会が得られていない。実際に、海外企業へ商品・サービスを販売している民間企業は約15%に過ぎず、うち8.4%は直接取引を行い、7.4%は第三者を介して取引を行っている。

VCCIのレポートはまた、政策立案者らが、民間企業の海外取引促進に向けて多大な努力を行っているにもかかわらず、期待された成果が出ていないことを問題視している。ベトナムの中小企業のうち、グローバルのバリューチェーンに参画するのは、わずか約21%であり、ASEAN諸国が46%であるのに比べてはるかに低い。

最近、ハノイで開かれた民間企業の成長予測に関するフォーラムで、エコノミストのチャン・ディン・ティエン博士は、「ベトナムは30年かけて、ドイモイ政策を実施してきたが、現状、ベトナムのGDPに占める民間企業の割合は10%に満たない」と指摘した。ティエン博士によると、大規模の企業グループも非常に少なく、彼らは生産投資や海外競争力の構築よりも、投機的な取引を重視しているという。

こうしたことからエコノミストらは、民間企業の成長に向けて、2つの政策方針を提案した。

1つ目は、海外とのパートナーシップにおいて信頼関係を築き、彼らの事業拡大を促すとともに、国内企業に対しては、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)の保護規則に関する情報提供を行うこと。

2つ目には、紛争解決の制度を検討する総合施策が必要であるとし、一例として、インフラや人材を高度化し、法整備や国内運営を刷新するための解決策を挙げた。