ベトナムの農業、輸出は好調だが、技術利用は発展途上

センサーなどを活用したスマートテクノロジーは、農業や農産物の加工・保存の効率化、コストの低下に貢献するが、ベトナムの農業はまだその技術を生かし切れていない。

写真㊤=農業分野への導入が期待されるスマートテクノロジー

■損失率は9~30%

昨年、ホーチミン市科学技術局副局長のグエン・キ・フン教授は、「ベトナムの農業部門は3.76%の成長を遂げ、輸出収入は400億200万ドル(約4兆3,400億円)、貿易黒字は87億2000万ドル(約8,900億円)に達した。しかしながら、一般的にベトナムの農産物の価格は、品質が高くはないことから、他国の同種のものより15~50%も低い」と述べた。フン氏によると、ベトナムの農産物の損失率は9~30%であり、これは農産物の栽培、輸送、保存、後加工における技術利用が進んでいないためだと指摘する。

フン氏は、「ホーチミン市は、農業を従来の手法から新たな収穫手法へ移行させるために、ハイテク農業の開発に力を尽くしている」と語る。国には、インダストリー4.0を基本とした農業振興施策があるものの、実際にはまだ発展途上だ。

農業を対象にしたスマートソリューションや関連機器の市場は、Demeter社やMimosaTEK社、Infinity Blockchain Labs社によって形成された。これらは主に、植物の状態や栽培環境を把握するセンサー、QRコードを用いた原産地のトレーサビリティ、LED照明、農業用ロボット、スマート農業経営、水耕栽培技術を提供している。

■先進的な農業関連機器が出品

農業、農産物、食品加工・保存に関する技術と機器をテーマにした展示会「Techmart 2019」が5月9日と10日、ホーチミン市で開催され、栽培コストの低減や農産物の品質向上に向けた新しい技術が紹介された。

会場では、さまざまな製造ラインとともに、農業や農産物の加工・保存に関して、研究機関や大学、技術系企業から先進的な機器が出品。その中で、1,000~1,500平方メートルの農地で使用する灌漑設備や栄養管理機器、野菜や果物の加工・保存に使用する殺菌水生成装置が注目された。

第4次産業革命(インダストリー4.0)は、農業を含む経済のさまざまな分野に影響を与えているが、世界から取り残されないためにも、ベトナムの農業は、先進的な技術やソリューションを導入するべきだと考えられる。