ドン相場、対米ドルで再び上昇=中銀は外貨売却で「為替操作国」認定回避も

 米ドルの対ドン相場での下落傾向が続いている。サイゴン・タイムズ紙(電子版)は、米中両国が新たな追加関税発動を見送り、両国間の貿易摩擦激化への懸念が若干和らいだことなどがその背景にあり、今後は米越両国金融当局の政策もあって、ドル安傾向は続きそうだと分析している。

 投資家は米中摩擦を受け、安全資産である米ドルを買っていた。しかし、大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議の場で、トランプ米大統領と習近平中国国家主席が会談し交渉再開に道を開いたため、ドルの対人民元相場は下落した。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が引き締め政策の転換を示唆したことが、ここへきてドルの下落を誘っている。
 一方、ベトナムに関しては米財務省が5月、主要貿易相手国の外国為替政策についての報告書を公表し、「監視対象」に指定した。報告書は(1)巨額の対米貿易黒字(2)大幅な経常黒字(3)一方的で継続的な為替市場介入-の三つの基準で相手国を評価し、全てに該当すれば制裁措置などを発動できる「為替操作国」に認定する。
 米財務省によると、ベトナムは200億ドル超の対米貿易黒字を抱え、経常黒字は国内総生産(GDP)の2%余りと大きく、為替操作国認定への2条件は満たしていた。しかし、外貨買い入れ(市場介入)額では2018年は対GDP比率で1.7%にとどまった。これは、ベトナム国家銀行(中央銀行)がドルの先物売り契約を結んでいたためで、この売却分を含めなければGDP比は2.5%程度に拡大していた。
 ただ、19年はGDP伸び率が前年比6.6%と推計される中、現在までの外貨買い入れ超過額は既に83億5000万ドルとなり、対GDP比でも3.2%余りに増えている。さらに、外国直接投資の好調な流入も続いている。このため、国家銀は外貨を売るか先物での売却契約を結ぶことによりGDP比率を下げ、為替操作国の認定回避を余儀なくされる可能性もある。(時事)