AIやブロックチェーン導入加速 東南アジアのIT拠点に

IT環境の整ったベトナムは、AIやブロックチェーン(オンライン取引の履歴を暗号化して蓄積するデータベース)など経済のデジタル化において、高い潜在力があると期待されている。政府は、東南アジアのIT拠点として、海外からの投資も呼び込みたい考えだ。

写真㊤=ベトナムでは、農業分野のIT化が顕著だ。QRコードによって産地などの情報を表示するシステムの導入も登場した

このほど、科学技術省傘下の国家技術起業・商業発展局によって市場におけるAIやブロックチェーンをテーマにした会議が開催された。同省のチャン・バン・チュン副大臣は、「ベトナムは今、大量生産の合理化を図るアプリケーション・プログラムによる第4次産業革命のただなかにある」と説明。「こうした技術進歩は、製造産業の継続的な発展とともに、
人の労働力に代わるITオートメーション革命をもたらすだろう」と強調した。

安心安全な金融や効率的な物流の実現には、膨大なデータを分析、問題を解決することができるAIとブロックチェーンの可能性に大きな関心が集まっている。「ベトナムは、東南アジア地域のテクノロジーセンターとして、魅力的な投資先やビジネスパートナーになることができる」とチュン副大臣。「急速に成長するデジタル経済の構築に向け、デジタル化の波に乗り遅れてはならない。近年は、FPTやVNPTといった国内IT大手もこの分野に進出、結果を出している」と実例を紹介した。

IT企業のサオバクダウ合資会社によると、多くのベトナム企業は、海外に輸出する品質の高い農産物を生産するため、こうしたブロックチェーンの活用を始めている。システムを利用すれば、生産から消費まで、農産物の流れをリアルタイムで把握できるようになるという。これらをうまく活用するためには、農業従事者に導入の利益を理解してもらうことが不可欠。また、作物の産地から流通までの追跡を可能にするトレーサビリティーは、農家から流通まで、あらゆるグループが参加して初めて実現するとしている。

AIやブロックチェーンは、すでにさまざまな成果を生んでいる。今後さらに、普及するには、だれでも利用、修正できるオープンソースのデータベースも必要となってくるだろう。