ベトナム製の自動車部品の免税を検討、商工省 業界発展の起爆剤となるか?

ベトナム国内の自動車産業の育成と発展を支援しようと、国内で製造された自動車部品や部材などにかける特別消費税の撤廃や免除などが、検討されている。ベトナム商工省が関連省庁と連携して、法案の提出を検討しているもので、海外大手メーカーとの競争に打ち勝ち、業界を発展させる起爆剤となりうるか、注目されている。

ベトナム商工省傘下の工業局によると、ベトナムの自動車産業は過去2年間に急速に発展。複数の製品が、隣国のラオスやカンボジア、さらには中央アメリカ諸国などへ輸出された。

ベトナム国内の自動車製造・組み立て企業は、現在で170社を超え、50万台の年間成算が可能だという。7トン以下の軽トラック、25席以上のバス、冷凍車などの特装車などの部品の現地調達率は右肩上がりといい、チュオン・タイン・ホアイ工業局長は、「われわれの目標としていた現地調達率を達成しただけではなく、市場の要求にも十分応えている」と評価する。

それでも、ベトナムはまだ、自動車産業のサプライチェーンにおいて、最下層に位置しているのが現状だ。「世界的な自動車メーカーとの製造契約に大きく依存している」とホアイ局長はその理由を分析する。これは、ベトナムの自動車業界が、エンジン製造、制御システムなどの構築といった、自動車製造業の中枢技術を、まだ獲得できていないことが大きな原因だ。また、原材料や大型部材の供給する企業が出てきていない点も響いているという。

このため、9席以下の乗用車部品の現地調達率は、まだ目標達成には至っておらず、東南アジア地域の他の国々と比べても著しく低い。大手自動車メーカーの受注を受け、ベトナム国内での製造にこぎつけた部品も、タイヤや座席部材、ミラーやガラス、ワイヤー部品やバッテリー、プラスチック製のパーツ類などの、精密な製造技術を必要としないものに限られている。

さらに、ベトナムで製造されている部品類は、タイやインドネシアなどの隣国だけでなく、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的協定=TPP11)やEVFTA(ベトナム欧州自由貿易協定)などの加盟各国から輸入されるパーツとも、激しい競争を強いられている。

そこで、ベトナムの自動車産業を発展させるために、商工省は関連各省と連携し、大企業による自動車製造や組み立てに関するプロジェクトを加速させ、多国籍企業からの投資を誘致することに焦点を当てた、新たな政策を提案していきたい考えだ。その一つとして、提案されているのが、今後5年間、最大で10年間まで延長して、ベトナム国内で製造される自動車部品やパーツにかける特別消費税を免除するという法案だ。その実現にむけて、商工省が各関連団体や省庁などとの調整に余念がない。

業界発展を勢いづけたいと願うベトナムの自動車産業界からも、賛同の声やさらなる提案が寄せられている。これらの意見に基づいて、チャン・トゥアン・アイン商工相は、関連産業分野での関税引き下げや、市場規模の拡大など、引き続き課題の解決に向けた議論を活発に展開するよう、関連部局などに求めているとした。