年成長率18%の金型産業、ベトナム企業は世界水準を追う

ベトナムの金型精密加工業の年間評価額は10億ドル(約1069億円)を超え、年成長率は18%に達した。高い成長を遂げる分野として、国内外の投資家から注目を集めている。

写真㊤=ベトナム企業がグローバルサプライチェーンに参入するためには、サポートが必要だ

■FDIの増加とともに成長
ベトナム国家大学ホーチミン市校工科大学機械工学部のグエン・タン・ティエン准教授によると、10億ドルの評価額のうち、国内企業が占める割合は42%で、残りは外資系企業だ。

過去10年間、ベトナムの金型産業は、海外直接投資(FDI)の増加に伴い急速に成長してきた。北部のキヤノンやパナソニック、ホンダ、ピアッジォ、南部のムトー精工、テクワンビナ、ソニオン、日本電産グループ、サムスン電子といった大企業の進出は、ベトナムの金型加工業に高度なデジタル化と自動化をもたらした。

こうしたFDIの増加は、ホーチミンのDuy Tan、Viedam、Mida、Sakura、北部のHTMP、TMT、An Phu Viet、Smart Vietnam、An Phat Groupなど、多くのベトナム企業の発展に貢献した。

現在、ベトナムの金型産業には、Minh Nguyen、Duy Khanh、Lap Phuc、Duy Tan、Cat Thai、Minh Dat、Phu Vinhをはじめとする有名企業が育ってきた。ティエン准教授は、「ベトナム企業は今では、金型の設計、製作、熱処理、表面処理、組立、検査を含む加工プロセスの7割以上を提供することができる」と分析する。

■国際機関との協力を
サイゴン・ハイテクパーク(SHTP)の代表代行であるレ・ビック・ロアン氏は、「私たちのハイテクパークは、金型生産の本拠地になっている。FDIの企業向けだけでなく、輸出用の金型も提供している」と話す。例えば、日本の産業用工作機械メーカーのマキノ(牧野フライス製作所)は最近、ハイテクパークにテクノロジーセンターを開設した。顧客サービスを強化するとともに、金型精密加工や自動化の分野で、パートナーシップを発展させるのが狙いだ。また、テクノロジーセンターは、ベトナムの金型製造業が世界の技術の進展に対応し、グローバルサプライチェーンへ参入できるようサポートしている。

マキノ・アジアのネオ・エン・チョンCEO兼社長は、「テクノロジーセンターの開設によって、販売前後の顧客サポートを強化し、ターンキーソリューションや技術移転によって精密加工の専門知識を共有するというマキノの戦略やコミットメントを可能にする」とその背景を語った。

ロアン氏によると、日本や韓国といった先進国は、自動化設備を最大限活用するために、様々な技術分野に向けて高品質な金型を製造できる複合コンビネーション型のモデルを採用している。サイゴン・ハイテクパークは、日本の国際協力機構(JICA)や日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力銀行(JBIC)といった国際機関とベトナム企業をつなぐ架け橋となることで、金型産業の発展に向けて、協力や投資の機会を求めていきたいという。