今年1~9月のベトナムのコーヒー輸出量は125万トンで、前年同期より13.3%減少。輸出額も、21.9%ダウンの21億5000万ドル(約2330億円)だった。不振の背景には、ブラジルの通貨レアルの下落により、コーヒーの国際価格が低下したことがある。

写真㊤=中部高原地方のダクラク省で行われるコーヒーの収穫(VNA)

ベトナム農業・地方開発省の農産物加工・市場開発局によると、9月のコーヒー輸出量は8万1000トン、輸出額は1億4300万ドル(約155億円)と推定される。輸出先はドイツと米国が2大市場で、今年1~8月の輸出額は、ドイツ向けは2億7060万ドル(約293億円、全体の13.5%)、米国向けは1億7600万ドル(約191億円、同8.8%)だった。

今年最初の8カ月間で、コーヒーの平均輸出価格は前年比で10.7%下がり、1トン当たり1709ドル(約18万5000円)に落ち込んだ。輸出価格が大幅に下がったことで、ドイツ、米国、イタリア、スペインといった市場向けの輸出額全体も低下している。

世界的にもコーヒー価格は下落しており、その背景には、世界一のコーヒー生産国であるブラジルの通貨レアルが下落し、同国が輸出を強化したことがある。農業・地方開発省によると、米国はじめとする主要市場の需要は増え続けている。

また、こうした世界市場の影響を受けて、ベトナム国内の市場価格も低下している。コン・トゥオン(Cong Thuong)誌によると、9月の中部高原地方での生豆価格は、8月に比べて1キロ当たり100ドン(約0.47円)下がり、3万2400~3万3400ドン(151~156円)で推移。併せて、1~9月のコーヒー価格も、昨年末に比べて1キロ当たり100~200ドン(約0.47~0.93円)下がった。

ブラジル政府は、天候不順のため、今年の生産量は5月に予測した5090万袋から4900万袋(1袋は60kg)に減少するとみている。ただ、年末までには、生産量は例年通りに回復すると予想され、世界のコーヒーメーカーや貿易業者は海外市場への輸出拡大を狙っている。