増加する対米貿易黒字、繊維・衣類が最大の輸出品目に=1~7月、前年比34%の伸び

今年1~7月のベトナムと米国の貿易総額は411億4,000万ドル(約4兆4,587億円)に達し、前年同期比で24%増加した。このうちベトナムの輸出額が、27.7%増の329億9,000万ドル(約3兆5,754億円)。一方、米国の輸出額は11.2%増の81億5,000万ドル(約8,833億円)だった。この7カ月間のベトナムの対米貿易黒字は248億3,000万ドル(約2兆6,910億円)となり、前年同期と比べて34.2%増加した。

写真㊤=今年1~7月の対米貿易で、繊維製品と衣類は最大の輸出品となった

■急速な成長
繊維製品と衣類が最大の輸出品目で、前年同期比10.4%増の84億9,000万ドル(約9,201億円)。対米輸出総額の25.7%を占めた。

続いては、携帯電話・同部品が48億8,000万ドル(約5,289億円)で、77.9%伸びた(全体の14.8%)。また、履物が37億6,000万ドル(約4,075億円)で14.5%増加(同11.4%)。コンピューターと電子機器・同部品は28億6,000万ドル(約3,100億円)で、85.7%増加した(同8.7%)。そのほか、木材・木工製品は27億ドル(約2,926億円)で、33.2%の伸び(同8.2%)。機械・設備と工具、予備部品は24億8,000万ドル(約2,688億円)で、50.6%増加した(同7.5%)。

■楽観は禁物
ただ、ベトナムが新旧両世代の自由貿易協定(FTA)に参加したり、米中貿易摩擦に関わることは、原産地証明書(C/O:Certificate of Origin)に基づいた税関管理への挑戦でもある。

ホーチミン市にある米国商工会議所(AmCham)のアマンダ・ラスムセン会頭は、「一般的に、市場における健全な輸出成長率は年25~30%」と指摘。ベトナムからはハイテク品目の輸出が伸びており、同所は、ハイテク企業が生産地を中国からベトナムに移管しているとみている。

ベトナムと米国の両政府は、二国間の経済関係の発展に向けて懸命に取り組んでおり、ベトナムには、対米輸出拡大に大きな可能性がある。ベトナムの輸出業者は、米国の輸出入規制を遵守する必要があるが、その規制は他の国と比べて非常に具体的だ。中国から輸入した製品を米国へ「迂回輸出」するのではなく、米国へ直接輸出することにもっと注意を払うべきだ。

ベトナムの対米輸出は急速に発展し、国の経済成長に寄与しているものの、一部の外国製品は、正規の関税を回避するため不正にベトナムブランドを表示している。米国と貿易問題を抱える中国からベトナムへの生産移管が進む中、ベトナムは、持続可能な経済発展を可能にするプロジェクトのみを受け入れる必要がある。